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受信料不払い者に対する法的措置を決めたNHKは「公平負担のため」という。しかし、公平負担という名の強制への疑問が不払いを激増させていることも見逃せまい。
テレビ受像器を設置した人は、NHKの放送を見るつもりがなくても受信契約を結ばなければならず、現に見なくても受信料を払わなければならない。受信料を放送番組の対価と考えれば明らかに矛盾だが、そう決めているのは放送法である。
いわばNHKは国家の力を体現する法律に基づき受信料を集めているわけで、不合理と感じる人もある種の税金のような感覚で払ってきた。
NHKがチャンネル数を増やし、民業圧迫といわれるほど肥大化したのも放送法の後ろ盾のおかげだ。
これに対してNHK関係者は「国営放送」と呼ばれることに神経をとがらせる。「国営」がメディアとしての公正を疑わせ、信頼を失う恐れがあるからだろうが、かわりに強調される「公共放送」のイメージははなはだあいまいである。
かつていわれた「放送番組をあまねく届ける」はほとんど達成されているし、最近強調される「放送文化の向上」は民放を見下しているようにも聞こえる。
一連の不祥事や番組改変問題の過程で視聴者はこれらNHKの諸矛盾に気づいた。存立が公権力に支えられていること、国営を否定しながら権力の要にいる人にすり寄っていた現実が明らかになってしまった。
新生プランに「何人からの働きかけにも左右されることなく」という方針を盛り込んだくらいでは視聴者の信頼は回復しない。
日本のどこでも複数チャンネルの地上波テレビを楽しめ、衛星放送やケーブル放送が普及した現在は「自分で選んで見る」時代だ。本当に見たい番組なら対価支払いをためらわないが、見なくても受信料支払いの義務がある制度には抵抗感を抱く人が増えている。
この機会にNHKについて根本から考え直すべきだ。本当に必要なのか、必要なら何を期待するのか、どんな組織にしたらいいのか、見た分だけ受信料を取るのか、これまで通り一律か−論点は多い。
視聴者は受信料支払い拒否でNHKの現状に異議を唱えた。今後は放送制度の変革実現に向け、もっと基本的な議論を進めたいものである。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20050930/col_____sha_____003.shtml