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2005年09月28日(水) 00時00分

三菱ふそう 信頼回復へ改修急げ 東京新聞

 三菱ブランドをつけて走っているトラックとバスの七割強が欠陥車とは信じられない話だ。三菱ふそうトラック・バスは一刻も早く改修を完了させ、信頼回復に取り組まなければならない。

 昨年から続く一連の欠陥隠し・放置問題で、同社が国土交通省に届け出たリコール(無料の回収・修理)件数は九十八件に達した。これだけでも驚くべき数字だが、現在も走っているトラックやバス約百三十万台の72%、約九十四万台が欠陥とはあきれる。

 そうした欠陥が放置された結果、死亡二件を含む人身事故が三十五件、物損事故九十九件、火災九十六件という重大な事故が発生した。とくに横浜市で二〇〇二年一月に起きた母子三人死傷事故は、大型トラックの前輪ハブの強度不足が原因だった。同年十月には山口県でトラック運転手が死亡したが、事故はクラッチハウジングの欠陥とされている。

 これでは安心して三菱車には乗れない。三菱ふそうのトラックも三菱自動車の乗用車も販売が激減し、〇四年度のシェア(市場占有率)は大きく低下した。当然である。

 会社として存在が許されないという厳しい声まで出ている。なぜもっと早くから改修や再発防止策を実行しなかったのか。

 三菱ふそうは〇三年一月に三菱自動車から分社して、現在は米独のダイムラークライスラー社の子会社になった。だが、欠陥車問題が多発したのは三菱自動車時代のことだ。同社の設立は一九七〇年。親会社の三菱重工業と三菱グループ総力を挙げた自動車事業進出だった。一時はトヨタ、日産に続く第三位グループの一角を占めたが、その直後から欠陥は始まっていた。

 すでに退任した三菱自動車のある役員は「三菱というブランドと技術力への過信、経営トップから社員まで広がっていた無自覚さ」を失敗の理由にあげる。要するにブランドにあぐらをかいていたのである。なんとかなるという意識は、安全を第一とする商品では通用しない。

 現在、三菱自動車や旧経営陣などを相手とする三つの裁判が横浜地裁などで始まっている。三菱側はすでに大筋で欠陥があった事実を認めている以上、長期間争うべきではない。

 三菱ふそうは来年夏までとしている改修計画を、一日も早く完了させなければならない。この間に事故を起こして死傷者を出すなら、取り返しがつかない。その際、中小企業者には代車や休業補償も検討すべきだ。消費者の信頼を回復するための時間は、そう多くはない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20050928/col_____sha_____002.shtml