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2005年09月28日(水) 00時00分

国勢調査にプライバシーの壁朝日新聞・

オートロック式のマンションや、4月に全面施行された個人情報保護法が、5年に1度の国勢調査を難しくさせている。調査員が対象者に会えず、会えたとしても「個人情報」として、回答を拒否されるためだ。調査は今月23日から始まったが、5年前に比べて厳しい調査になりそうだ。

 国勢調査は、10月1日現在の人口の動きを調べて行政の基礎資料とするものだ。県内では約3万9千人の調査員(非常勤国家公務員)が、より実態に近づこうと、戸別訪問を続けている。

 柏市では、マンションがオートロック式になっていたり、表札がなかったりするケースも多い。調査員が住民に接触しようと、マンションの管理会社を通じて入居状況を問い合わせているが、「先週末からすでに10社以上の苦情を受けた」(同市)という状況だ。

 4月に全面施行した個人情報保護法が、会社側を過敏にさせたようだ。同法は、5千人分を超す個人情報を持つ企業や団体などに利用目的の本人への通知や漏洩(ろう・えい)防止などを義務化。「国調が個人情報保護法の除外だと説明しても、理解されにくい」と市担当者は嘆く。

 成田市は、マンションなどの管理会社や不動産会社から同法を理由に「こういうご時世なので」と断られた。空き部屋の有無だけを確認してもらっているが、市内には航空会社などの寮があり、会社側などに事前に説明して協力してもらう根回しも欠かせない。

 千葉市中央区の調査員は、担当地区の住民から「できることなら協力したくない」と言われた。同区担当課も同法の全面施行で、住民がプライバシーに敏感になっていることを実感している。

 20万世帯を対象に3700人が調査票の配布に繰り出す市川市。南部の行徳地区はマンションのオートロックに阻まれたり、個人情報を理由に調査を拒否されたりと苦戦が続く。市担当者は「やっと会えたと思ったら言葉の通じない外国人という例もある。部屋の明かりを確認して訪れてもドアを開けてくれない」。

 個人情報保護の高まりで、各自治体には次回調査について「郵便受けに配布し、封入郵送してもらうことも必要なのでは」(習志野市)という意見も少なくない。

 成田市内にある70戸のマンションを担当する男性調査員(47)は「再訪問の手紙を置くなどしたが、15戸とまだ連絡がつかない。根気よく訪問するしかない」と話していた。
(9/28)

http://mytown.asahi.com/chiba/news02.asp?kiji=5552