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「東京で一人暮らしをしようと思った。アパートを借りる資金が必要だった」。今月初めに警視庁が児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で東京都内の税理士の男(66)を逮捕した事件で、買春相手となった千葉県内の無職少女(17)は、調べにこう話した。
少女が売春を始めたきっかけは、携帯電話のサイトで派遣型風俗店員の募集を知ったこと。五月から渋谷区の同店で働き始め、六月中旬に補導されるまで二十五人ほどを相手に売春し、約五十万円を稼いだという。
神奈川県警は七月、売春防止法違反容疑で同店を摘発した。経営者の男(30)は、インターネットの出会い系や「闇の職業安定所」というサイトに「十代集合。ロリ系。高収入」と書き込んで少女らを募り、中高生ら約三十人を集めていた。「ブランド品が欲しい」と、五カ月間に約七十人の相手をして約二百万円を稼いだケースもあった。
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ネット上には風俗アルバイトをはじめ、銃器や薬物、口座の売買、犯罪請負といったサイトがあふれ、アダルト向けを含めた有害サイトは約一億二千万件に上る。子どもたちが事件に巻き込まれたり、犯罪に手を染めたりする際の端緒となるケースが目立つ。
警察当局は有害サイトの監視を強めてはいるが、警視庁のある捜査幹部は「犯罪に直結するとは断定しにくい巧みな言葉で書き込みがされ、接続事業者らに削除を要請できないことが多い」と実情を明かす。
たびたび事件の発端として登場する「闇の職業安定所」のサイト管理者は、本紙の取材に「サイトでいう『裏仕事』は犯罪ではなく、マグロ漁船のように大々的に募集をしない仕事の求人を想定している。犯罪求人はこちらも迷惑。書き込みが違法と判断できるものは削除し、警察の捜査にも協力している」と回答し、犯罪の手助けをする意図を否定する。
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「発信元を規制できないなら、受け手の対策を立てるしかない」。増殖する有害サイトから子どもたちを守ろうと、都青少年・治安対策本部の担当者がフィルタリング機能に着目した。
パソコンの接続業界は既に数年前から、希望するユーザーにこのサービスを有料や無料で提供しているが、携帯電話は未導入だったことから、都は条例改正に合わせ携帯電話業界に対策を要請。NTTドコモは今年七月にサービスをスタート。ボーダフォンは来月の開始を予定するなど前進し始めた。ともに無料だ。
しかし、都などによると、一般家庭でのフィルタリングの普及率は現在ほんの一割程度で、効果は判然としない。ある接続事業者によると、親がパソコンの使い方を知らず、子どもにフィルタリングの設定を任せていたところ、無断で解除していたケースがあった。
インターネット協会(東京)の国分明男副理事長は「フィルタリングを使って子どもに有害サイトを見せないようにするのも、逆にあえて有害サイトを見せて世間の実態を教えるのも、親の考え方次第。親が問題意識を持ち、親子で話し合うべきでは」と話している。
◆メモ <フィルタリング>
インターネットの有害サイトを選択的に排除できる仕組み。一般家庭でパソコンに市販の専用ソフトを導入したり、接続事業者や携帯電話事業者が提供するフィルタリングサービスに加入したりすることができる。改正東京都青少年健全育成条例は、接続事業者やインターネットカフェの運営業者らに対してはこうしたサービスの提供を、保護者に対してはサービスの利用をそれぞれ努力義務として規定している。
◆闇サイトを悪用した最近の事件
1月 東京消防庁の救急隊員の女(32)が、殺人請負サイトで知り合った自称探偵業の男に現金を支払って不倫相手の同僚の妻の殺害を依頼した。9月に暴力行為法違反容疑で救急隊員と男を逮捕
4月 名古屋市の会社員の妻(48)が出会い系サイトで知り合った工務店従業員の男に依頼して夫を殺害。6月に殺人容疑で妻と従業員を逮捕
6月 東京都小平市の無職少年(17)が「闇の職業安定所」と呼ばれるサイトで共犯者を募集しひったくり。窃盗の現行犯で少年を、7月に共犯の塗装工の男を逮捕
同月 山口県光市の県立高校3年の男子生徒(18)が、ネットを参考にして製造した爆発物を教室に投げ込み、傷害の現行犯で逮捕
※注 年齢、肩書は当時
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050926/mng_____sya_____005.shtml