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時間外労働について、労働基本法は、使用者(経営者)は労働者に対して適正な賃金を支払わなければならないことを明記する一方、その規定の適用除外者についても定めている。その代表例が「管理監督者」だ。
管理監督者は、(1)経営者と一体的な地位にあるといえるほどの権限と責任を持つ(2)出退勤の自由がある(3)権限と責任にふさわしい処遇が受けられる−の3要素を満たした者、とされている。
日本マクドナルドは直営店店長を管理監督者と位置づけている。これに対し、店長側は「現状では、店長も一般社員と同じ」と異論を唱えている。
問題が表面化したのは今年5月。月100時間超の過酷な労働環境に不満を抱いた日本マクドナルドの現役店長の“告発”がきっかけだった。店長の処遇をめぐり、店長側と日本マクドナルドは6月末から計5回にわたり団体交渉を行った。
日本マクドナルドは、店長が管理監督者である根拠として、出退勤が自由である▽アルバイトの採用などについて権限がある−などの点を指摘。これに対し、店長側は、出退勤はタイムカードで一括管理されている▽メニューや食材の仕入れ先を選べない−などの点を挙げ、「裁量権はきわめて限られている」と反論している。
両者の意見は平行線をたどったままだが、日本マクドナルドは今月末までに店長側に最終回答を提示する約束だという。同社広報室は「話し合いの内容は教えられない」としている。
関係者によると、日本マクドナルドでは、入社して7−8年で店長に昇格するのが一般的。数年前のピーク時で800−900万円だった店長の年収が、BSE(狂牛病)」問題や低価格路線の不調による業績悪化のため、現在は600万円程度にまで落ち込んでいるという。
日本マクドナルドの関係者は「右肩上がりの時期は、大半の店長が残業代の不払いを我慢してきた。だが、労働条件がこのまま悪化し続ければ、不満が爆発するのは時間の問題だ」と話す。
店長側によると、日本マクドナルドの直営店店長は約1500人で、残業時間は「少なく見積もっても70時間程度」という。労働基準法は、労働者の賃金の請求権が消滅する期限は2年と定められているが「1500人分を大まかに計算しても、会社側が支払うべき残業代は100億円近い額になる」(前出の関係者)といい、経営が大打撃を受けるのは間違いなさそうだ。
外食業界で日本マクドナルドと同様に店長を管理監督者として扱い、残業代を支払っていない企業は、日本ケンタッキー・フライド・チキン(東京)や、レストラン「ロイヤルホスト」を全国展開するロイヤルホールディングス(同)など少なくない。
業界関係者は「店長のサービス残業が業界全体で一気に問題化するのでは」と話している。
ZAKZAK 2005/09/20