2005年09月14日(水) 17時36分
四国経済:悪質リフォーム 四国4県の実績、「条例で行政処分」ゼロ /四国(毎日新聞)
お年寄りを狙う悪質リフォームなど問題のある訪問販売について、四国4県では不当な取引行為を取り締まる条例による行政処分の実績がこれまで全くないことが13日までに毎日新聞の調べで分かった。愛媛県警が先月松山市の悪質リフォーム会社を摘発するなど取り締まりの機運が高まる一方で“行政の目”は悪徳業者を手控えさせる役割を十分に果たしていない実態が浮かび上がった。
各県は特定商取引法のほかに県条例に基づき、業務改善の勧告や業者名公表などの行政処分ができる。文書や口頭で注意する「指導」は04年度で香川4件▽高知1件▽愛媛、徳島0件。行政処分に至ったケースは4県ともになかった。愛媛県では条例上、昨年度まで行政処分ができず、今年4月の改正(7月施行)で処分に関する項目が追加されたばかり。
同県今治市の精神疾患の男性が県内外の約10社からリフォーム工事を繰り返され、預金約3000万円を失った問題が発覚するなど、四国でも悪質訪問販売は横行している。同県警に摘発されたリフォーム会社は04年12月〜05年6月に少なくとも約3500万円を荒稼ぎしていたという。
行政処分の基準は明確ではないが、苦情相談が一定期間に集中▽指導を受けても改善しない——などの際に適用されることが多い。行政処分に対し業者側は不服を申し立てることができる。「民事訴訟に発展することを考えると、調査に時間をかけざるをえない」と香川県県民参画課職員は話す。悪質性の証明には多くの証言が必要。「表ざたにしたくない」と被害者に協力を得られないこともあるという。ある県の担当者は「首都圏の都県には専門の部署があるが、わが県では担当が2人だけ。人員が不足している」と話す。「2、3年ごとに異動があり、専門的にかかわるには限界がある」と話す職員も。
◇各職員ら協力し対応する動きも
そんな中、協力して悪質商法に対応する動きもある。4県の職員らが「四国4県悪質商法対策会議」を今年5月に立ち上げ、7月に高松市で勉強会を開いた。処分実績が豊富な東京都職員らを招き、処分に至る流れを学んだ。首都圏4都県では情報共有が効果を上げており、ノウハウを取り入れる狙いだ。高知県県民生活課職員は「県単独で取り組むより効果があるはず」と期待を込めた。
消費生活センターなどでは被害者と業者の間に立ち、契約解除を促すなどの活動が日々行われている。徳島県県民環境政策課の担当者は「消費者の被害回復を優先していた面がある。今後は処分も視野に入れたい」と話している。【津久井達】
9月14日朝刊
(毎日新聞) - 9月14日17時36分更新
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