2005年09月13日(火) 15時53分
国勢調査にも個人情報保護の壁!?(産経新聞)
プライバシーに過敏、総務省協力訴え
五年に一度の国勢調査が十月一日から始まるのを前に、総務省は回収率を上げようと、調査方法などを改善する「構造改革」を進めている。今回で十八回目となる国勢調査だが、個人情報保護法の施行を背景に、協力を拒む住民の増加が懸念されるなど、時代の流れとともに“逆風”が強まっているためだ。ただ、調査結果は政策立案に欠かせず、同省では協力を強く呼びかけている。
国勢調査の目的について、総務省統計局は「人口・世帯の実態を明らかにし、国や地方の行政の基礎資料として、少子高齢化社会への取り組みや街づくりにいかす」としている。
しかし、調査が回を重ねるごとに、プライバシーの保護を理由に情報の提供を拒んだり、「(調査に応じても)意味がない」などと断るケースが続出。
さらに今回は、今年四月の個人情報保護法全面施行後初の調査で、協力を拒否する住民の増加も予想される。
このため、同省は調査員向けマニュアルを改訂し、国勢調査が個人情報保護法の適用除外になっているとの説明を追加した。調査の法的根拠を明示したチラシも配布するなど、住民、調査員双方の理解を促している。
また、これまでは調査員が調査票の回収時に記入漏れなどをチェックしていたが、今回は調査員に回答内容を見られるのを好まない住民も多いことに配慮。調査票を封筒に入れて封をした状態で提出できる方式も選択できるようにした。この場合、調査員は封筒を開けずに自治体へ渡すことになっている。
また、一人暮らし世帯や、入り口にオートロックを備えたマンションの増加も調査を難しくしている。
一人暮らしの場合、留守のケースが多く、調査が行えない。オートロック式のマンションでは、調査員が訪問販売などに間違われ、一階から先へ入れてもらえないことも多く、総務省は約八十五万人の調査員に、同省発行の調査員証を首からかけて訪問するよう指導している。
調査結果のうち、男女別人口と世帯数は十二月末に速報され、衆参両院、地方議会の選挙区定数や区割りの見直し、防災対策などに使われる。
また、日本の総人口が早ければ今年にもピークを迎えて減少に転じる中、今回の調査は未来を占うデータを集める貴重な機会だとの指摘も多い。
総務省は「時代の流れとともに調査は難しくなっているが、調査は国の実態を示すもの。すべての人に協力してほしい」と訴えている。
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■国勢調査 統計法に基づいて5年に1度行われる国内最大規模の調査で、調査時点で日本に住むすべての人に申告の義務がある。世帯について「世帯員の数」「住居の種類」「住宅の建て方」などの5項目と、世帯員について「男女の別」「出生の年月」「就業状態」「通勤・通学地」など12項目を調査する。今月23日から国勢調査員(非常勤の国家公務員)が各世帯を訪問して調査票を配布、10月10日までに回収する。個人情報保護法は適用されない。
(産経新聞) - 9月13日15時53分更新
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