2005年09月10日(土) 15時09分
候補者のブログ、公示後の更新ダメ…ネット選挙戦に水(読売新聞)
衆院選候補者らの間で、日記形式の簡易ホームページ「ブログ」が多用されている。解散後、相次いで候補予定者らがブログを開設し、政治家ブログへのリンクを張る専門サイトへのアクセス数も急増した。ところが、日々更新するのがブログの特徴なのに、公職選挙法の規定で公示後は更新できない。ネット上では、「公示後こそ立候補者の主張を知りたいのに」という書き込みも目立つ。
政治家専門のブログサイト「エレログ」。自民、民主、公明、共産、社民各党候補者のブログが並ぶ。郵政法案反対票組が独自に開設しているブログへのリンクもある。
サイトを運営する福岡市東区のインターネット関連会社「イーハイブ・コミュニケーション」社長の平井良明さん(35)は、「解散前は1日5000件だったアクセス数が現在2万件になり、参加する政治家も20人から35人になった」と話す。
総務省の調査では今年3月末時点で国内のブログ開設者は延べ約335万人。エレログによると、同サイト参加者を含めて現在、衆院選候補者1131人のうち93人がブログを開設している。
ブログが選挙で大きな役割を果たすようになったのは、昨年の米大統領選からだ。ブッシュ大統領とケリー候補の両陣営は選挙運動にネットをフル活用する一方、両候補のスキャンダルも双方の支持者ら個人のブログを通して瞬時に広がり、選挙に大きな影響を与えたとされる。
日本の衆院選候補者たちも、政策や日々の出来事をブログに書き込んできたが、8月30日の公示を境に更新がぴったりと止まった。
「朝起きたら、自宅近くに記者が沢山」。広島6区から出馬したライブドア社長の堀江貴文候補のブログ「社長日記」も、出馬の打診があったことを認めた8月16日のこの記事を最後に、更新されていない。
更新が一斉に止まったのは、公示後は公選法に抵触する恐れが強いからだ。総務省選挙課は「法はインターネットやブログを想定していないが、公示後の更新は、選挙期間中の文書図画の頒布・掲示を禁じた146条などに抵触する」との見解だ。
民主党も公示当日、岡田代表の第一声などを党ホームページに掲載したが、同省の指摘で削除した。
だがネット上には、「握手で候補者の主張まで分からない。ブログに政策をアップした方が効率がいい」「法律を改正してどんどんブログを使っていけばいい」などの書き込みが目立つ。東京の無所属候補陣営も「政策や主張を訴えるぐらいは認められるべきではないか」と話す。
金子郁容(いくよう)・慶応大大学院教授(情報組織論)は「ネットで選挙運動ができれば、候補者は自分の考えを安く発信でき、有権者も各候補者の主張を手軽に知ることができる。ブログを含めたネット上での選挙活動は、日本でも認められるべきだ」と話す。
(読売新聞) - 9月10日15時9分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050910-00000007-yom-pol