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2005年08月29日(月) 00時00分

有害サイトや情報漏えい ネットのワナ 子どもを守れ 東京新聞

 個人情報の漏えいや新種のウイルス、スパイウエア、身に覚えのない料金の請求など、ネット社会には危険がいっぱいだ。いまや子どもも自由にネットサーフィンやEメールを楽しむ時代。小学生とその保護者を対象に、ネットセキュリティーについて学ぶ「夏休み自由研究体験教室」が都内で開かれたので、のぞいてみた。 (ルポライター・池上 紅実)

 「インターネットに潜むわな−インターネットの安全な使い方について学ぼう」。夏休みも終盤に入った八月十八日、東京都渋谷区にある高層ビルの十五階で、こんなタイトルの夏休み自由研究体験教室が開かれた。近隣の小学生十九人とその父母が参加。セキュリティーソフトで知られるトレンドマイクロ社の主催だ。対象は小学校三年生から五年生までで、二十人の定員のところに約六十人の応募があったという。

 講義では、ウイルスと情報漏えい、有害サイトについて具体例をまじえて説明、対処法も紹介された。(1)パソコンに勝手にゲームソフトなどを入れない(2)自分や家族、友だちの名前や住所を安易にネット上に書き込まない(3)インターネットは家族と一緒に利用する、おかしいと思ったら親に相談する−などの注意があった。

 五年生の兄弟、日高拓人(たくと)君と巧大(うだい)君は、講義で偽のホームページを見事に見破った。「どれだと聞かれたから分かったけれど、普段は考えたこともない」と打ち明けた。「チャットでうっかり自分の名前や年を書いてしまうことはない?」と聞くと、「ない」との返事。でも、母親の雅美さんが「この前『小五だ』って書いちゃったでしょう」と指摘、「心配なのはチャットです。セキュリティーソフトも万全ではないし、結局は親の判断が頼り。でも、私も自信を持って答えられるわけではなく、子どもの方がよく知っていて置いていかれそう」と現状を語る。

 保護者対象の講義では、ウイルス対策ソフトを子どもが勝手に無効にしないように注意することや、巧妙になっている個人情報の入手の手口、有害サイトに引き込まれないためのコツなどが、具体的に説明された。

 中曽根亘君=小五=と参加した母親の雅代さん(40)は、家庭のパソコンが最近ウイルス感染したことをきっかけに同教室に応募した。「ウイルス対策ソフトを入れるとパソコンが遅くなるのが嫌で…。感染してもリセットすれば済むわけだし」と苦笑い。でも、リセットでは済まされない情報漏えいについてはよく分からないという。臼井達哉君=小五=は、夏休み自由研究の題材にと同教室に参加。父親の文哉さん(44)は「学校でどこまで対応できているのか。意識の高い親や先生の指導がなければ、子どもたちが安全にネット社会に旅立てないのではないか」と不安を隠さない。

 同社マーケティングコミュニケーション課の冨安玲さんは「小学校ではネットの活用に重点が置かれ、セキュリティーまで意識していない子どもが多いと思う。今回の教室はそれも意識して企画しました」と説明。同課の瀬川正博さんも「学校は個人情報の宝庫なので、先生もビクビクしているのが現状。多くの先生はどうすればいいかご存じない。中高生になるとパソコンを自由に使えるようになり、刺激的なこともやりたくなる。そういう子どもたちにネットに潜むわなの恐ろしさを教えることが大切です」と警告する。

 セキュリティー対策は一人でできるものではない。インターネットにかかわるすべての人がもっと意識を高める必要がありそうだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20050829/ftu_____dgi_____000.shtml