2005年08月08日(月) 19時24分
RSS/Atomフィード需要拡大の先に見えるもの(ITmediaエンタープライズ)
ブログによってXMLの派生「RSS」の注目度は高まり、次期Internet Explorer 7.0(IE 7)のサポート表明が追い風となっている。そうとはいえ現在はまだ、WebやEメールに比べRSSの利用率は低い。
しかし、RSSに象徴される標準化メタデータ配信が活用されていくことは、想像に難しくないというのが多くの意見だ。
その可能性を探るべく、8月5日にグロービスの東京オフィスで開催されたのがビジネス活用推進団体「FBS」(フィードビジネス・シンジケーション)による「フィードビジネス・カンファレンス」。「RSS/AtomによるWeb革命」とも題されたこのイベントでは、フィードビジネスに関わるFSB参画ベンダーからキーマンが集い、講演を行った。
後述するRSS広告社代表取締役社長の田中 弦氏から語られた3つのレイヤーは、現在のフィードビジネスの広がりを知る上で理解しやすいものといえる。
●フィードビジネスは2009年、2千億円規模に拡大と予想
ネットエイジ、代表取締役社長の西川 潔氏は現在のフィード環境について、「数年後の拡大予兆があり、大きな市場になるだろう」と冒頭で語った。また、RSSやAtomのフィードによって何が実現されるかについて、ユーザーエクスペリエンス向上が期待できることだと強調する。
市場拡大を見込み、ネットエイジではこれまでに関連する2社への投資を行っていることにも触れ、RSS広告社について紹介した(もう1社は「ブログエンジン」)。RSS広告社は、RSS配信に広告を関連されるビジネスに取り組んでいる国内ベンダーの1社。同種としてGoogle AdSenseでブログを始め小規模サイトへの広告展開に成功したグーグルだが、同社はRSS利用の先行として注目されている。
RSS広告社代表取締役社長の田中 弦氏は、現在多くのRSSやAtomなどに関わるフィードサービスがあるが、「配信」「付加価値」「受信レイヤー」という3つのレイヤーに分けることで理解しやすくなる、とプレゼンで示した。
現在は、それぞれのレイヤーで代表するサービスがベンチャーや個人によるものとなっているが、今後は他のレイヤーへとまたぐサービス登場が予想されると語る。また、上写真のプレゼンにもあるように、田中氏はそれぞれのレイヤーで注目すべきサービスも挙げた。「FeedBurner」、「MyRSS.jp」を始め、先ごろトランスコスモスが出資を行った「Pheedo」など、フィード広告への注目が高まっていることを強調する。
一方、配信レイヤーに位置する「RSS Suite」は、効果測定の側面もあるルートコミュニケーションズのサービス。既存サイトからRSS生成を行うためのサポートを行うものだ。
RSS=ブログといった固定概念を払拭し、要約配信がデファクトとなるためには著名サイトの生成提供が大きなポイントかもしれない。
田中氏は、配信レイヤー、そして付加価値レイヤーにも関わるが、日本語解析には苦労していることも語った。英語圏と異なり、日本語では英単語をカナ表記する場合に区切り無く記述することが多いからだという。このため、解析には英語圏とは比べものにならないほどの苦労が多いという。このように付加価値レイヤーのサービスでは、技術はもちろんのこと、営業も伴うため比較的パワーが必要になるとの見解を示した。
受信レイヤーではユーザー数、使いやすさがポイントとなり、IE 7がユーザーマインドシェアとどう関わるかがポイントだと田中氏。主に、リーダーサービスを示しており、現在は個人が作成しているものの使用率が高い傾向であることを語った。
●フィード利用はメール代替? から始まる
テクノラティジャパンの佐藤匡彦氏は、Alexa Web Searchの日本サイトランキングを示し、国内のアクセス傾向として特定サイトに集中していることを指摘した。この傾向が何を示すかに対し同氏は、「ブランド軸から目的軸に変化している」と言及し、Webを見るユーザーの需要変化を語った。
検索追求が現在のテクノラティの方向性だと言い、これこそが目的軸にマッチした情報の絞り込みが可能だからだと強調する。さらに、IE 7の登場でフィード利用環境は急速に整備されるはずと言い、現在はWebブラウズが60%、メールは40%という統計があるが、フィード利用がメールの40%に食い込んでいくことが予想される、と見解を示した。
●企業内の情報共有にブログは
サイボウズ、ネットサービス部ジェネラルマネージャーの小川 浩氏は、企業利用のブログ「イントラブログ」についてを語った。
小川氏はRSS/Atomの概要、そしてブログの動向について語り、企業内で利用するブログを特に「イントラブログ」と称していると言い、同社ではコンシューマ向けサービスとして「cybozu.net」、ビジネスニーズには現行の「サイボウズ ガルーン2」によって情報共有を実現することに触れた。共にRSS/Atomをサポートするサービスとパッケージ製品となっている。なお、cybozu.netは、8月28日からリニューアル後のα公開を行う。
RSSやAtomのメタデータは、現在のところ単なるXMLフォーマット形態の1つだと冷静に見るのが大手ベンダーの見解だ。
しかし、徐々にではあるがブログ以外の著名なサイトでも採用が進んでおり、要約配信のデファクトとなりつつある。このような情勢の中で、フィードをテーマとして応用範囲を明確にし、ビジネスの広がりを模索していくのがFSB(フィードビジネス・シンジケーション)の狙いとなっている。
■さらに画像の入った記事はこちら
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0508/08/news066.html
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/ (ITmediaエンタープライズ) - 8月8日19時24分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050808-00000038-zdn_ep-sci