2005年08月04日(木) 20時21分
<音楽配信>アップル上陸 iチューンズサービス開始(毎日新聞)
米アップルコンピュータのインターネットを経由した音楽配信事業「iチューンズ・ミュージックストア」が4日、日本で始まった。欧米では03年のサービス開始以来、累計5億曲以上のダウンロード(パソコンへの取り込み)実績がある。携帯音楽プレーヤー「iPod」で開拓した顧客層に加え、100万曲に及ぶ配信曲の豊富さと150円という手ごろな中心価格で、日本でも「配信サービスの本命」といわれる。アップルの日本上陸で、ネットを介した音楽配信市場が一気に過熱しそうだ。【小林理】
■9割が150円
「日本にまったく新しいデジタル音楽の世界がやってくる」。4日、東京で開かれた発表会で、米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は高らかに宣言した。
アップルが配信事業を始めるのは日本が20カ国目。エイベックスなどレコード会社15社が楽曲を提供する。利用者は「iチューンズ・ミュージックストア」のホームページから好きな楽曲をダウンロードし、クレジットカードで料金を払う。iPodに楽曲を移し替えることができるほか、CDにも記録できる。
価格は150〜200円だが、アップルは「100万曲のうち9割は150円」と強調。先行する配信サービスの中心価格(200円程度)に比べ、割安感をアピールする戦略だ。
■市場拡大に期待
アップルの参入で競争が激化しそうだが、他の配信事業者はおおむね歓迎ムード。オリコンの小池恒右社長は「アップル参入で音楽配信への認知度が高まり、本格的な普及段階に入る」と市場拡大に期待を寄せる。野村総合研究所によると、音楽配信市場は04年度で80億円だが、09年度には11倍の880億円に拡大する見通しだ。
音楽配信の価格はレコード会社が決めるが、アップルへの楽曲提供に合わせて他の配信事業者への提供価格を引き下げるレコード会社が相次いでおり、アップル参入が低価格化も促しそうだ。オリコンやモーラなどは4日、一部楽曲の価格を引き下げ、「270円だった曲が150円になったケースもある」(モーラ)。
■戦国時代に
アップルの懸念材料は、ソニー・ミュージックエンタテインメントから楽曲提供を受けないままのサービス開始になったことだ。ソニーは自社系列のモーラに優先して楽曲を提供しているが、「オレンジレンジ」「ポルノグラフィティ」「平井堅」など有名アーティストを擁するだけに、アップルの成功にはソニーの取り込みが課題になる。
一方、来年には、米ナップスターが定額で一定期間聴き放題のサービスを日本で始める。今月中旬から始まる「楽天ミュージックダウンロード」では、購入額の1%が仮想商店街「楽天市場」で使えるポイントとして利用者に還元されるなど、サービスの差別化で各社が顧客取り込みを図る戦国時代に突入しそうだ。
(毎日新聞) - 8月4日20時21分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050804-00000092-mai-bus_all