2005年08月03日(水) 02時37分
郵政白熱 宅配広告も過熱 ゆうパック「安い」クロネコ「翌日」(産経新聞)
JARO改善要望、不当表示の恐れ
日本郵政公社とヤマト運輸が、インターネットなどでそれぞれ流した宅配便の広告が、誤解を与える広告を禁じた「不当景品類及び不当表示防止法」に違反する恐れがあるとして、日本広告審査機構(JARO)から「改善要望」を受けていたことが二日、分かった。郵政民営化論議が熱を帯びる中、既に市場では激しい顧客取り込み合戦が過熱していることが背景にある。両社は指摘の内容を認め、広告の表示を変えるなどした。
JAROの改善要望は、広告が「法令抵触の恐れがあり、修正が必要」と判断された場合に出される強い措置。年間に一、二件程度しか出されないのが普通だが、複数の大手業者が同分野の広告で指摘を受けるのは極めて異例だ。
関係者によると、郵政公社が指摘を受けたのは、主力商品である「ゆうパック」の価格改革に関する広告。昨年十月に「安い、早い、便利、安心」といった宣伝をインターネットに流した。しかし全利用者の料金が安くなるわけではなく、地域や送付物の形状により値上げとなる場合もあることから、今年二月に改善要望が出された。
ヤマト運輸が指摘されたのは、やはり主力商品である「クロネコメール便」に関する広告。ホームページなどで「翌日配達します」と表示したが、実際には首都圏内でも翌日配達されなかったり、一週間以上かかる場合があった。JAROでは昨年十二月に「消費者に誤認を与える恐れがある」と指摘した。
両社の広告ともに消費者からの苦情が相次いで寄せられ、JAROが審査に乗り出していた。JAROは経産省と公正取引委員会の認可を受けた広告の民間規制機関。
個人あてを中心とする小物物品の宅配に関しては、郵政の完全民営化論議が活発に交わされる中で、既に激しいシェア争いが始まっている。
現在、ヤマト運輸は30%以上のシェアを持っており業界トップ。郵政公社は現在のシェア6%を、ゆうパックを主軸に10%にまで押し上げたい方針を示している。
シェア拡大のため郵政公社は昨年、料金改定や一部のコンビニエンスストアでの集荷を決断。一方、ヤマト運輸は「税金の免除といった優遇措置を受ける郵政公社が、同じ土俵で競争するのは民業圧迫」と激しく反発し、東京地裁に不公正取引差し止めの訴えを起こし、現在係争中。
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郵政公社の話「誤解を生じさせる表現だったので、『安い』という言葉を削除した」
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ヤマト運輸の話「指摘を受け、『翌日配達』を前面に出さない広告に変えるとともに、配達体制を見直し翌日配達範囲を広げる対策をとった」
(産経新聞) - 8月3日2時37分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050803-00000001-san-bus_all