2005年07月29日(金) 03時03分
新手の“詐欺”都内で続発 「設置義務づけられました」→住宅用火災警報器販売(産経新聞)
言葉巧み専門語 消防職員かたり…
「振り込め」や「リフォーム」と新手の詐欺が相次いでいるが、今度は「消防署」をかたり、市価よりも高額な住宅用火災警報器を売りつける業者が都内に“出没”している。東京都が新築や改築の際に、警報器の設置を義務付けたことに目をつけた新たな悪質商法だ。対象外の住宅にも売りつける詐欺まがいのケースもあるという。消防署の職員が訪問販売することはない。平成二十年には全国すべての住宅に設置義務範囲が拡大されるため、今後全国に広がる恐れもある。
「消防署の方から来ました。警報器設置が義務付けられたので確認させてください」「消防の許可を得て町会を回ってます」「消防庁の下請けの〇〇です。設置はほんの一分です」…。
警報器の訪問販売が目立つようになったのは今月に入ってから。警報器の市価は千−一万三千円とまちまち。これに対し、業者は一万−二万円で販売しているという。価格には設置費も含まれ、東京消防庁は「高いと思わずに取り付ける人もいるのではないか」と、潜在的「被害者」が存在するとみている。
業者は一人か二人で、消防職員と同じように青の作業服を着ている業者もいるなど、手が込んでいる。一人暮らしの高齢者や昼間一人になる専業主婦を狙って訪問しているらしく、難解な消防用語や法律用語も織り交ぜた巧みなセールストークを展開するという。
同庁は「難しい言葉で思考を停止させ、たたみかけるように高額な警報器購入をさせる。以前問題となった、消防職員と偽って高額な消火器を売りつけた悪質商法と似た手口」と話す。
警報器は、昨年十月に都の火災予防条例が改正されたことにより、新築や改築の一般住宅には警報器の設置が義務付けられている。「業者は対象外の住宅まで回り、あたかも義務化されたように言葉巧みに設置を迫っている」(同庁)
義務化されたと明言して条例対象外の住宅で警報器の購入を迫れば、詐欺罪に抵触する可能性がある。同庁の関係者は「業者は言葉尻を濁したりして、違法すれすれでやっているようだ。高齢者や主婦に不安をあおり売りつける手口は振り込め詐欺やリフォーム詐欺にも通じる」と指摘する。
平成十八年には改正消防法が施行され、二十年をめどに全国すべての住宅に警報器設置が義務付けられる。消防関係者は「新たな法律をたてに高額な消防機器を売りつける悪質業者が全国であらわれるかもしれない。不審な業者が家や店に来たら、まず近くの消防署に相談して」と注意を呼びかけている。
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■住宅用火災警報器 火災で発生する煙や熱を感知して警報音か音声で知らせる機器。東京消防庁によると、死者の4割が「火災に気付くのが遅れた」ことによるもので、逃げ遅れを減らす効果がある。一般的には煙感知型が使用されるが、誤作動防止のため台所には熱感知型が適している。普及が進む米国では一台1000円前後で販売されている。一部のホームセンターか防災設備店、メーカーのホームページなどから購入できる。
(産経新聞) - 7月29日3時3分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050729-00000021-san-soci