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全青司が昨年七月に東京で「生活保護ホットライン」を実施したところ一日に七十九件の相談があった。多くは「受給を断られた」「打ち切られた」という訴えだった。
全青司は「どこに相談していいか分からず困っている人が多い」として、全国十三地区の有志が参加し、全国規模で110番を行うことにした。
司法書士は二、三年前から、多重債務の処理やホームレス支援に関連して、生活保護申請の手助けをする機会が増えている。常任幹事の古根村博和さんは「必要性があって地理的に対応できるケースでは、自治体の福祉事務所の窓口に司法書士が相談者に同行して支援することまでやりたい。現場の声を集めて、生活保護制度のあり方について提言もしたい」と意気込む。
生活保護を受けている世帯は、社会の高齢化や景気後退の影響を受けて急増。一九九五年には約六十万世帯だったが、今年二月には約百一万六千世帯になっている(グラフ参照)。
国も自治体も厳しい財政の中、生活保護の予算は膨らませたくないのが本音。生活保護を不正受給する人も少なくないので、受給対象者としていいかどうかの自治体のチェックは厳しくなりがちだ。そのせいか、正当な理由なく、受給の申し出をはねつけられたり、保護を打ち切るケースが絶えない。
相談機関としては市民団体の「生活と健康を守る会」やホームレス支援団体が各地にあるが、知名度は低い。また「地方議員に相談しないとうまくいかない」という声も聞かれるが、知り合いに地方議員がいる人は少数で、制度の公正さを疑問視する声もある。
全青司は、昨年のホットラインで寄せられた相談の中から、生活保護受給を申し出た七十六歳の高齢者に対して福祉事務所が疑問のある対応をした次の事例を示す。
「福祉事務所に相談に行ったところ、家賃が八万円と高いので、引っ越ししてから来るように言われた。しかし、引っ越し費用も用意できない」
生活保護費の費目「住宅扶助費」には上限がある。それを上回る家賃のアパートに住みながら生活保護を受けるときはその分だけ本人の負担は大変だが、このケースでは引っ越しが受給の絶対条件ではない。
福祉事務所の現場の職員や職員OBらがメンバーの研究団体「全国公的扶助研究会」は、担当職員数の不足、専門性の不足などの問題点を挙げる。注目されにくい分野であるうえ、人事異動で担当者がすぐに代わってしまうことが多いためだ。
研究会前事務局長の日比野正興さんは、司法書士や弁護士に対して「生活保護オンブズマンのような役割を務めてほしい」と期待する。
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110番は三十日に十会場で行われる。午前十時から午後四時まで。受け付け電話番号はフリーダイヤル(0120)300779。この番号にかけると、相談者から最も近い会場の電話に自動的に転送される。
面談による相談は関係地域では神奈川、静岡、福井、石川の四県である。会場は各県の司法書士会館。住所は▽神奈川=横浜市中区吉浜町1▽静岡=静岡市駿河区稲川1の1の1▽福井=福井市春山1の1の14▽石川=金沢市新神田4の10の18。石川県では電話、面接とも午後一時から四時まで。
◇メモ <生活保護>
国が定めた最低生活費の基準と比べて収入が少ない世帯に足りない分が保護費として支給される。ただし▽その人なりに十分に働く努力をする▽財産がない▽親子、兄弟といった扶養義務者から援助を受けられない−などの条件を満たす必要がある。
保護費には生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の八種類がある。生活扶助費の基準は世帯構成や地域ごとに異なっており、例えば東京都区部の六十八歳の高齢者単身世帯では月額八万八百二十円。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050728/ftu_____kur_____001.shtml