2005年07月22日(金) 03時21分
犯罪被害財産、国が没収・追徴し給付 新制度案、秋にも国会提出(産経新聞)
「ヤミ金融事件」や「振り込め詐欺」などの犯罪によって奪われた財産を、国が没収・追徴して被害者に給付する制度を整備するため、南野知恵子法相は二十一日、組織的犯罪処罰法の改正などを含む新制度要綱を法制審議会に諮問した。
指定暴力団山口組系五菱会(現・二代目美尾組)のヤミ金事件で、犯罪被害財産を被害者に返還する仕組みの不備が表面化したことがきっかけ。法務省は秋の臨時国会に法案を提出したい考えだ。
現在の組織的犯罪処罰法では、国は被害者が奪われた財産を没収・追徴することができない。被害者が民事訴訟で返還を求めることを妨げないためだ。しかし、暴力団などを相手に民事訴訟を起こすことへの経済的負担や心理的負担が、泣き寝入りにつながると指摘されていた。
五菱会事件では、犯罪被害財産の返還協定がないスイスに財産が移されていたことから、民事上の返還が事実上できなくなっている。
諮問要綱によると、犯罪被害財産を没収・追徴し、国庫に納めず検察官が主体となり被害者に支給する手続きを整備する。検察官が被害者への給付対象となる犯罪行為を特定した上で公示し、申請のあった被害者の給付額を決める方向だ。弁護士が手続きに加わることや、不服を受ける制度を設けることも要綱に盛り込まれている。
現在、全国で相次いで表面化している「リフォーム詐欺」も対象となるとみられる。五菱会事件に関しても、スイスからの引き渡しを受け、新法の「支給手続」部分を運用して被害者に返還する方法が考えられている。
(産経新聞) - 7月22日3時21分更新
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