2005年07月22日(金) 03時17分
犯罪収益を被害者に分配、組織犯罪処罰法改正を諮問(読売新聞)
法務省は21日、暴力団などによる組織犯罪で、被害者が民事訴訟で取り戻しにくい犯罪収益を没収・追徴し、被害者に分配する制度を創設することを決め、南野法相が組織犯罪処罰法改正などを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した。
法務省は秋に想定される臨時国会に関連法案を提出する方針だ。今回の法整備が進めば、指定暴力団山口組旧五菱会系のヤミ金融事件に関連し、スイス当局が没収した犯罪収益約51億円の被害者への一部返還も実現する見通しだ。
現行法では、国が没収・追徴した財産は原則として国庫に帰属し、被害者に分配することができない。被害回復には、被害者が加害者相手に損害賠償請求の民事訴訟を起こすことが求められている。
しかし、請求の相手が暴力団などだった場合、請求者が報復を恐れて提訴しないケースが目立っている。旧五菱会系ヤミ金融事件でも、訴訟を起こしている被害者はわずかだ。犯罪収益の没収・追徴が認められなければ、逆に犯人側に不当な利得をもたらすとの指摘も出ていた。
今回の諮問要綱によると、「損害賠償請求権の行使が困難と認められるとき」に限定して、犯罪収益のうち、組織犯罪処罰法で禁じている犯罪被害財産の国による没収・追徴を可能にする。刑事裁判で「請求権の行使が困難」なケースと認定され、判決で没収・追徴された財産は、検察官が一時的に保管し、被害者からの被害申請に従って没収・追徴財産の範囲内で分配する。マネーロンダリング(資金洗浄)による組織犯罪処罰法違反で没収・追徴された時も、被害者が存在する犯罪収益なら分配の対象となる。
(読売新聞) - 7月22日3時17分更新
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