2005年07月21日(木) 02時54分
総務省 NTT東西の過疎地補填 通信業界で費用負担(産経新聞)
総務省は二十日、固定電話の全国一律サービスを維持するための「ユニバーサルサービス基金制度」を見直し、NTT東西地域会社がサービスを続けるのが難しい過疎地などを補填(ほてん)対象地域として設定し、必要な費用を通信業界全体で負担することを決めた。インターネットを活用するIP電話の普及や割安サービスの登場で将来、NTT東西による電話網の維持が困難になると判断した。これにより、来年度から初めて基金が発動されることが確実になった。
同日の情報通信審議会(総務相の諮問機関)の「ユニバーサルサービス委員会」で、総務省が制度見直し案を示して了承された。同省は答申案として二十五日に電気通信事業部会へ提出後、意見募集を経て十月をめどに最終決定する。関連する省令改正は今年度内に行う考えだ。
現行制度は平成十四年六月に導入され、NTT東西が全国の固定電話事業で赤字になった場合に限り、通信各社で費用負担する。
ただ、NTT東西は不採算地域で赤字が発生しても都市部の黒字でカバーしており、「自社内で実質的に補填してしまうので、基金には実効性がない」(NTT幹部)と反発していた。
これを受けて同委員会の答申案では、加入者回線ごとにコストを算出した結果、過疎地など4・9%を「高コスト地域」として補填対象地域にあらかじめ設定した。事業者ごとの費用分担の割合は、各社が保有する電話番号の数から算定する方向だ。
一方、基金発動によって利用者による費用負担が、新たに発生する可能性も指摘されている。「基金負担は事業者だけでは吸収できない」(新電電幹部)という見方が多いからだ。国民全体で過疎地のサービス維持コストを負担することになれば、反発が出るのは必至とみられる。
(産経新聞) - 7月21日2時54分更新
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