2005年07月21日(木) 01時46分
悪質リフォーム、認知症・高齢者狙い被害拡大(読売新聞)
訪問販売による住宅リフォーム被害が相次いでいる問題で、次から次へと工事契約を結ばされたり、認知症=痴呆(ちほう)など判断能力の不十分な人が狙われたりするケースが急増していることが20日、国民生活センターの調べで分かった。
2週間で600万円もの工事費を支払った事例など、高齢者を中心に被害が広がっており、悪質業者が弱者を食い物にしてきた実態が改めて浮き彫りとなっている。
同センターが、全国の消費生活センターなどに寄せられた訪販リフォームの相談事例について調べたところ、1995〜2004年度の相談総件数は6万4482件。このうち、次々と工事契約を結ばされる「次々販売」についての相談は計2866件、認知症などの「判断不十分者」については計1943件だった。
95年度と04年度を比較すると、全体の相談件数は約3倍だったのに対し、次々販売は47倍と大幅に増え、判断不十分者も8・5倍に上った。相談全体に占める割合をみても、次々販売が0・6%から9・1%に、判断不十分者が1・4%から4・3%に増えた。
発表された事例によると、九州南部に住む70歳代後半の女性は、00年から今年にかけて18の業者と計47件のリフォーム工事を次々と契約。床下、屋根裏、外装工事などの総額は約1570万円に達した。業者は年金の支給日を狙い集金に訪れていたようで、貯金はほぼ底をついていたという。
関東地方に住む70歳代の男性宅には昨年5月、「屋根を見せて欲しい」と、業者が突然訪れた。「このままだと雨水が入り込み屋根が腐ってしまう」と言われ、115万円で屋根工事を契約。その後、屋根裏、床下、浴室と、2週間で計600万円の工事を契約してしまった。
いずれのケースについても、同センターが1級建築士と現地調査を行ったところ、ほとんどが不要な工事だった。「相談を見ると、屋根から屋根裏、床下と順番に換気扇や耐震補強具をつけるなど、業者のやり方はパターン化してきている。手口が広まり被害も増えているようだ」と同センター相談調査部は話している。
こうした被害を防ぐために、同センターは、消費者に対して訪問販売ではできるだけ契約しないよう呼びかけ、関係省庁にはリフォーム業者の登録制度導入などを求めている。
(読売新聞) - 7月21日1時46分更新
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