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2005年07月17日(日) 00時00分

悪質リフォーム代金 取り立て代行 信販会社に募る批判 東京新聞

 住宅リフォーム会社のサムニングループによる詐欺事件をはじめ、悪質な訪問リフォームが高齢者らの危機意識を高めている。消費者相談が急増、行政は被害者支援に向けて動きを加速させている。だが、その背後で多くの信販会社が悪質業者と加盟店契約を結び、被害者から代金を取り立てて利益を上げている実態が浮かんできた。信販業界が不正を“後押し”する格好で、批判の声が強まっている。 (鷲野史彦)

 東京、神奈川、埼玉と千葉の四都県と四政令市が今月中旬に実施した電話相談「リフォーム契約トラブル110番」には、二日間で約三百件の相談が寄せられた。うち東京都消費生活総合センターには百三十四件。サムニングループを含めて約百社の名前が挙がった。

 一人暮らしの男性(83)は三年間で一社と十四件、計二千八百万円の契約を結ばされた。認知症(痴呆症)の男性(84)は工事代金約百七十万円を二重取りされた疑いがあった。「悪質業者が数多くいる実態が分かった」と担当者。六十七件は追跡調査が必要という。

 四都県は今後、契約解除や代金返還などの交渉を支援する考え。同一業者による複数の被害が確認されれば、合同で行政指導するほか集団提訴を検討するという。

 こうした悪質リフォーム問題の温床として指摘されているのは、加盟店契約を結んだ業者に代わり、顧客に代金を請求する信販会社の姿勢だ。

 今年五月、ある信販会社から都内の六十代の無職男性あてに、クレジット契約の残金支払いを求め提訴するとの通知が届いた。男性は二〇〇〇年四月から昨年八月、サムニングループなど八社と十四件、計約二千六百万円の工事契約を結んだ。うち十一件、計約千九百万円分は信販会社のクレジット契約だった。

 男性の月収は、年金の十三万五千円。信販会社への返済は、毎月二十万円。退職金や生命保険解約金など約一千万円を充てていたが、今年二月から底を突いた。都消費生活総合センターの支援で建築士が鑑定したところ、ほとんどは不要工事と判明。「今思えば、悪質業者も、信販会社も同類だ」と男性は言う。

   ■   ■

 クレジット契約は「個品割賦購入あっせん契約」のこと。申し込み手続きは、信販会社と加盟店契約を結んだリフォーム会社など業者が代行。信販会社が電話で顧客の本人確認や信用調査を行って契約が成立する。信販会社には業者が顧客と契約を結んだだけ手数料が入り、業者にとっては、信販会社が代金を一括で立て替えてくれるので、高額商品の販売が容易になるメリットがある。

 だが、信販会社関係者は「業者が顧客の収入をごまかしたり、信販会社が顧客を十分に確認せず、過剰与信となるケースは多い」と指摘。経済産業省によると、埼玉県富士見市の認知症姉妹を食い物にした業者が加盟店契約していた複数の信販会社は、サムニングループとも取引があった。担当者は「結果として信販会社が悪質業者に手を貸した格好だ」と話す。

 一九九〇年代に社会問題化したアクセサリー販売のココ山岡事件のように、クレジット契約をめぐり被害が拡大するケースは後を絶たない。経産省はそのたびに加盟店の管理を徹底するよう信販業界に通達してきた。だが、業界団体の全国信販協会(東京)は「会社ごとに加盟店の管理の在り方や顧客の審査基準は異なる。ルールの統一化は難しい」と明かす。

 自主規制が進まない信販業界に法の網をかけようと十六日、弁護士らの「クレジット過剰与信対策会議」が発足した。宇都宮健児弁護士は「悪質業者ほど稼いでくれるから、通達くらいでは信販会社の利潤第一主義は変わらない。割賦販売法を改正し、トラブルを起こした業者と連帯して顧客に代金を返済する責任を信販会社に負わせるべきだ」と話す。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050717/mng_____sya_____011.shtml