2005年07月16日(土) 15時04分
<偽DM詐欺>民間私書箱を悪用 被害額は数千万円に(毎日新聞)
大手消費者金融の会社名やロゴ、貸金業登録番号などをそのまま使った偽ダイレクトメール(DM)が全国で大量に出回り、本物と思いこんで融資を申し込んだ人が手数料名目で現金をだまし取られる被害が急増している。規制が厳しくなった銀行口座でなく民間私書箱を送金先に指定する新しい手口を使っているのも特徴。偽DMは約20万枚に達するとみられ、被害額は判明分だけで数千万円に上っている。警察当局も新手の「振り込め詐欺」とみて警戒を強めている。【三木陽介、石丸整】
大手消費者金融5社でつくる「消費者金融連絡会」によると、偽DMは「350万円まで融資可」「おまとめ! ご融資の決定」などと派手なキャッチコピーで、多重債務者に債務一本化を勧める内容。コピーのほかに印刷されているロゴや登録番号、イメージキャラクターのタレントの写真などは本物がそのまま使われており、各社のホームページ(HP)などにあるロゴなどを勝手に使ったとみられる。
問い合わせ先として記されたフリーダイヤル番号に掛けてきた人に「金融庁の許可が必要で、手数料として融資額の5%を送金してください」などとうそを言い、民間私書箱に電信為替などで送金させる手口だ。このほか「ほかの金融会社から借りたことがあるなどの実績が必要」と、複数の本物の消費者金融から融資を受けさせて全額詐取するケースもあった。1人当たりの被害額は10万〜65万円が多いという。
偽DMが出回り始めたのは昨年2月ごろから。「あて先不明」のDMが本物の消費者金融に「誤送」され発覚した。当初は稚拙な印刷だったが、今年4月ごろからはシール式はがきに代わり、印刷も精巧になった。
消費者金融連絡会によると、各社に誤送された偽DMは今年4月だけで計5948枚。誤配率から推測すると約20万枚は郵送されているとみられる。多重債務者名簿などを使い大量発送しているらしい。
振り込め詐欺で多用された不正口座は昨年12月に施行された改正本人確認法で売買や売買の勧誘が禁止された。そこで、今回の詐欺グループが目を付けたのが民間企業が運営する私書箱だ。民間私書箱は郵便局の私書箱とシステムは同じだが、利用料のほか、申込書に住所や会社名などを記入するだけで、身分証の提示を求めない業者も多く、匿名性が高い点に違いがある。ファクスやメールだけで申し込めたり、運送業者を使って再配達するサービスもある。
同連絡会は「こちらから融資を案内するDMを勝手に送ったり、債務の一本化を勧めることはない。不審な点があれば正規の電話番号に相談してほしい」と注意を呼びかけている。一方、警視庁捜査幹部は「民間私書箱が実際に犯罪に使われているのは事実。早く何らかの規制を設けるべきだ」と指摘している。
(毎日新聞) - 7月16日15時4分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050716-00000047-mai-soci