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主婦、A子さん(37)=横浜市=のもとにある日、「貯金事務センター」から一通のはがきが届いた。十万円の定期郵便貯金が間もなく満期を迎えるという連絡だった。何気なく内容を確認したA子さんは驚いた。「利子額」の欄に「0円」とあったからだ。
利率が低いのは承知していた。一年でわずか0・03%。ため息が出るほど低い。しかし、どんなに低くても「十万円で利子ゼロはないだろう」。何度電卓をたたいても三十円はあるはず。たかが三十円かもしれないがゼロは納得がいかない。
そういえば…。A子さんは郵貯の利子の計算方法が今年四月から変わったという記事を雑誌で読んだことを思い出した。しかし、読み直してもよく分からない。そこで、はがきに載っていた「相談センター」に問い合わせて、意外なことが分かった。
「千円ずつ、百口で貯金されていませんか」と言われ、郵便貯金証書で確認すると、なるほどそうなっていた。千円の利子は0円。0は何回掛けても0で、利子も0円という計算らしい。
しかし、A子さんには千円ずつ百口で貯金してくれと頼んだ覚えはなかった。どうやら、郵便局の担当者が「善意で」そうしたらしい。
善意とはどういうことか−。
実は、今年三月までは一円未満の端数が切り上げられていたのだが、四月からは切り捨てられることになっていたからだ。
例えばA子さんのように千円ずつ預ければそれぞれに0・03%の〇・三円の利子がつく。ここまでは今も昔も同じだが、三月までは、一円未満の切り上げで一円、百口で百円の利子がついた。十万円まとめて預けた場合の利子三十円より、七十円も「お得」だった。そのため、窓口の職員が小口に分けたというわけだ。それが四月からの端数切り捨てで、同じ預け方のままでは利子ゼロに。
日本郵政公社によると、「預け方によって利子に大幅な差が出てしまう不公平を是正するための措置」という。切り上げを利用して毎月預け入れ直し、一カ月ごとに千円当たり一円ずつの利子を地道に獲得、月に0・1%、年利で1・2%にしてしまう「裏技」さえあったからだ。
ある相談センターによると、利子計算方法の切り替え時期の三月から四月は日に百件以上の問い合わせが殺到。だいぶ落ち着いてきたが、今でも日に十数件は電話があるという。
同公社は昨年九月に改定を広報したが、いまだに周知徹底されていないようだ。
A子さんのケースでは、満期前に十万円にまとめて利率がかかる「元金貯金」にするよう窓口に頼めば、正規の利子三十円がつくことが分かった。通知が来て、利子0円とあったら、どういうことなのか確かめる価値はありそうだ。
問い合わせは、各地の相談センターか最寄りの郵便局へ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050714/ftu_____kur_____000.shtml