2005年07月14日(木) 22時17分
証券会社「不相応な勧誘」に賠償責任、最高裁が初判断(読売新聞)
広島市内の水産物卸売会社が、野村証券(東京都中央区)からの勧誘で危険性の高い取引を行い損失を被ったとして、約14億3400万円の賠償を求めた訴訟の上告審判決が14日、最高裁第1小法廷であった。
才口千晴裁判長は「違法な勧誘はなかった」と述べ、約1億2500万円の賠償を命じた2審・東京高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻す一方、「証券会社が顧客の意向と実情に反して過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど、著しい逸脱行為があった場合には損害賠償責任を負う」との初判断を示した。
証券取引法には、証券会社が顧客の知識や経験、財産に不相応な勧誘を行うことを禁じた規定があるが、罰則はない。今回の判断は、この規定に著しく違反した勧誘行為があった場合には損失分を賠償しなければならないとしたもので、証券会社の行き過ぎた営業活動への警鐘となりそうだ。
判決などによると、この水産会社は、同証券から資金運用の勧誘を受け、1984年9月から95年3月にかけて、社長と専務の判断で、株や債券を一定価格で売買する権利自体を取引するオプション取引などを行った。売買総額は約1776億円、取引は4392回に及んだ。
1審・東京地裁は請求を棄却したが、2審は「社長、専務ともにオプション取引の危険性を回避できる知識や能力があったとは言えず、違法な勧誘だった」として、賠償を命じていた。
(読売新聞) - 7月14日22時17分更新
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