2005年07月12日(火) 09時52分
<ヤフー>利用者からの通報無視、不正出品オークション(毎日新聞)
国内最大のネットオークションを運営するヤフー(本社・東京都港区)が、不正出品された利用者からの通報を無視して競売停止に応じなかったことが分かった。何者かが利用者のIDを勝手に使って参加する「なりすまし詐欺」の手口で、ネットオークションでの詐欺の一つ。ヤフーは、この利用者に出品の取り消し手数料まで請求しており、オークションを管理・運営する会社の責任のあり方が問われそうだ。
IDを使われたのは東京都内の女性。今年4月下旬、旅行から戻りパソコンでオークションに接続すると、自分が出品した覚えのない宝塚歌劇東京公演千秋楽のSS席(定価1万円)のチケット2枚と旅行代理店の旅行券10万円分が表示され、問い合わせ先のメールアドレスも自分のものではなかった。
宝塚のチケットは既に入札者が4人おり、1枚5万円近くまで値段が上がっていたことから、女性は「放置すれば詐欺に発展する可能性が高い。落札期日が迫っているのですぐに対処を」と同社にメールで数回通報。しかし、返事がなかったため出品を取り消す手続きを取った。
2日後に届いたヤフーからのメールで「IDを保有しているお客様ご自身の責任」として入札者4人分の取り消し料2100円の課金を通告。さらに「弊社では単独で調査、状況検証などを行うことはできない」と記されていた。女性は「犯罪を未然に防いだのに、なぜ取り消し料まで請求されるのか。手数料で収益を上げている企業としての責任を果たしていない」と憤っている。
ネットオークションは、落札し代金も支払ったのに商品が届かないなどのトラブルが相次いでおり、警察庁によると、04年に詐欺事件として検挙されたのは259件に上っている。また、今年3月と6月には、被害にあった計709人が「大量に被害者が発生するシステムを放置している」とヤフーを相手取り、総額1億4460万円の損害賠償を求め、名古屋地裁に提訴している。
今回の対応について、ヤフー法務部は、毎日新聞の取材に「従業員が顧客情報を悪用する可能性を考え、利用者に代わって出品の取り消しなどができるシステムにはしていない。被害者と確定すれば取り消し料など返金する」としている。【大平誠】
【ネットオークション】ヤフー、楽天、ビッダーズが管理・運営の大手3社。経済産業省によると、04年で約7840億円の市場があり、ヤフーは約5700億円を占める。会員はあらかじめ登録した固有のIDを使って出品や入落札する。管理・運営会社は落札額の一部などを手数料として徴収している。出品者のIDには落札者の評価が付き累積されるシステムとなっており、優良取引を繰り返せば、そのIDの信頼度が高まる。
(毎日新聞) - 7月12日9時52分更新
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