2005年07月12日(火) 11時17分
ポスペWebメール版は「そばのようなサービス」に(ITmediaニュース)
「ポストペットモモ便」のモモ(左)とコモモ (C)Sony Communication Network Co. 写真:ITmedia
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ペットがメールを配達してくれるメールソフト「ポストペット」のWebメール版「Webメール de PostPet」が9月に公開される。PC向けでは3年ぶりとなる新作で、Webメール版は初。フルFlashで軽快に操作できるアプリケーションになる予定だ。Webメールからシームレスにコミュニティーに参加できるようにし、ユーザーを囲い込む。
ポストペットと聞いて「懐かしい」と感じるネットユーザーもいるだろう。初登場は1997年で、シリーズ累計出荷数は111万本以上。最も売れたのは1998年に発売された「PostPet 2001」で、85万5000本出荷した。
「ネットが普及し始め、メールの使い方が分からない人が多かった時期、ポスペが『メールは楽しい』というメッセージを伝え、時代の波に乗った」——ソニーコミュニケーションネットワークOnline Interactive Entertainment Div. PR・渉外チームの樋山城リーダーは、PostPet 2001の勝因をこう分析する。
その後メールは日常化し、仕事にもプライベートにも必須のツールになってく。同時に、Webメールや無料で高機能なメールソフト、携帯メールが台頭。コンシューマー向けパッケージソフト市場全体が振るわないこともあり、ポストペットは苦しい戦いを強いられてきた。2002年12月に発売した「PostPet V3」(8万本出荷)以来、PC向けは新作が出ていない状況だ。
実は、V3発売前後から、Webメール版の構想はあったというが、なかなか実現に至らなかった。動画を使ったWebメールは、当時主流だったダイアルアップ回線には重すぎた上、ブラウザの動画表現力も未熟で、ポストペットの世界観を再現できる環境が整っていなかったためだ。
ここ3年でブロードバンドは一気に普及。総務省調査によると、2004年末時点で60%を超えた。ブラウザの表現力も向上し、Webメール版を始める素地がやっと整った。「ぼくたちのやりたいことに時代が追いついた」(Online Interactive Entertainment Div.制作チーム1 の杉本たけしさん)
●「そばのようなサービスを」
Webメール版は、標準的な環境でサクサク動くものを目指して開発中。ペットの動きは、従来のポスペよりなめらかになる予定だ。
ポスペのキャラはこれまで、あえてぶっきらぼうに動くよう作っていたという。2次元のキャラクターがあまりになめらかに動くと違和感がわき、愛着が沸きにくいためだ。
昨年放送したアニメ「ポストペット モモ便」がファンの支持を得たことが転機となった。アニメの滑らかな動きが受け入れられ、アニメ用にデザインし直したキャラが従来キャラをおさえて人気投票で上位に。Webメール版でもアニメのキャラデザインや動きを受け継ぐことにした。
キャラクターや部屋のデザインは、子供っぽくなく、かつ落ち着き過ぎない万人向けを目指した。従来製品のユーザーだった20〜30代男女だけでなく、子どもからお年寄りまで広い層に使ってもらいたい考えだ。Webメール版の開発コードネームは「SOBA」。誰でも気楽に楽しめる、のど越しの良いそばのようなサービスを目指すという。来年6月までに15万ユーザーの獲得を目標にしている。
●ポスペ初、「有料おやつ」
Webメール版はSo-net接続会員かメール会員(初期登録料525円、月額210円)なら無料。パッケージ収入に代わる新たな収入源として、課金アイテムを導入する。
ペットのおやつや部屋の家具などを数十円から数百円程度で販売。アイテムごとのネット販売はポスペ史上初の試みだ。「面白いアイテム次々に出し、“有料だとさらに楽しい”という作りにしたい」(樋山リーダー)
Webメール版には、ユーザー同士で交流できる機能を順次追加していく計画だ。メール画面上のタブを選ぶだけで専用コミュニティーサイトを表示できるようにし、ユーザーを自然に誘導。従来は別途申し込みが必要だったコミュニティーサイトにも簡単に参加できるようにした。コミュニティーを通じてサービスへの愛着を深めてもらい、ユーザー囲い込みにつなげる狙いだ。
●ブログで口コミ効果狙う
Webメール版公開3カ月前となる6月から、開発状況をブログで公開している。Webサービスは、従来のパッケージ版のように店頭販促できないため、トラックバックなどで口コミ効果が得られやすいブログに目をつけた。20〜30万人のユーザーがいる同社のコミュニティーサイト「Livly Island」「Harbot」も、7割が口コミ経由といい、効果は折り紙付きだ。
トラックバックやコメントを通じて批判的な意見が寄せられることもあるが、削除はしない方針。「批判コメントなどで荒れるかもしれないが、そのまま受け止めて糧にしたい。ユーザーと一緒に作っていきたいと思っている」(樋山リーダー)
■さらに画像の入った記事はこちら
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0507/11/news025.html
http://www.itmedia.co.jp/news/ (ITmediaニュース) - 7月12日11時17分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050712-00000018-zdn_n-sci