2005年07月09日(土) 00時00分
夫婦で2千万円被害例も/悪質訪問販売被害(朝日新聞・)
県南部に住む70歳代の老夫婦が、訪問販売による住宅リフォームや多数の寝具、浄水器の購入など、95〜04年の間に分かっただけで14件の契約を結ばされ、代金総額が約2千万円に及んでいることが民間団体の調査で分かった。同じ業者が何度も訪問する「次々商法」とは異なり、多種多様な悪質業者に高齢者が狙われる「複合被害」が県内で増加している。(信原 一貴)
夫婦は農村地帯の一軒家に2人で暮らしている。夫婦が役場に生活の困窮を相談したことから被害が発覚した。
昨年末、高齢者と障害者を狙った悪質販売の相談に応じている民間団体「エール」(仙台市青葉区)などが調査したところ、届いていた請求書などから床下換気扇や外壁工事など7件のリフォーム契約、5件の寝具類購入、2件の浄水器購入などが次々と分かった。訪問業者は少なくとも7社あった。
契約はいずれも高額で、400万円の風呂工事、100万円の布団セット、50万円の浄水器など。一部の契約は120回分割払いなど長期ローンを組まされており、夫婦は月々の支払額も把握できていなかったという。
支払いのため夫婦は厚生年金を担保に銀行融資を受けるなどして1千万円以上を工面した。自宅と田んぼは競売手続きに入ってしまい、生活資金は残された月3万円ほどの国民年金しかない。
7日に建築士が夫婦宅を調査。リフォーム工事のすべてが異常に高額だったり不要だったりすることが確認され、近く弁護士と法的措置を検討する方針。しかし契約業者の中にはすでに存在しないものもあり、完全な被害回復は難航しそうだ。調査に妻は「訪問されると断れなくて…」とつぶやいたという。夫婦には加齢による判断能力の低下がうかがわれ、近く医師の診断を受ける。
エールへの相談件数は年々増えて、02年度67件、03年度134件、04年度151件。約4割が老夫婦のケースと同じく様々な業種が関係した「複合被害」だという。被害相談は郡部、都市部を問わず全県から寄せられている。
代表の荒中(ただし)弁護士は「複合被害はいわば『悪質商法の総合デパート』。高齢者の不安をあおり健康食品や浄水器を売るほか、家を持っていれば住宅リフォーム、さらに裕福なら宝飾品と訪問業者が増えていく。被害額が数百万円から1千万円以上になることも多い。業種をこえて高齢者のリストが流れているのだろう」と指摘する。
エールでは被害を未然に防ぐため(1)第三者が高齢者の財産や契約を保護できる成年後見制度(2)県社会福祉協議会が高齢者の預貯金管理などを行う「みやぎ地域福祉サポートセンター(まもりーぶ)」、などを活用するよう高齢者や家族、福祉関係者に呼びかけている。
この問題の問い合わせは、エール電話022・722・7225、仙台家庭裁判所(成年後見制度の手続き)電話022・222・4165、まもりーぶ電話022・212・3388。
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http://mytown.asahi.com/miyagi/news02.asp?kiji=7076
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