2005年07月06日(水) 18時29分
<探偵>トラブル急増 法規制の動きも(毎日新聞)
探偵事務所と依頼人との間でトラブルになるケースが急増している。国民生活センターによると、全国で04年度の相談件数が1500件を突破、統計が残っている9年前の約3・5倍となった。大半がプライベートな内容のため、表面化するケースは少ないが、法的責任を追及する動きも出ている。兵庫県在住の男性が5日、追加調査の強要は不当として、大阪市内の探偵事務所代表に支払った調査料約790万円の不当利得返還請求訴訟を起こした。また、府内では、調査報告書が虚偽だったとして、告訴に発展する動きも。この問題に取り組む弁護士グループは「泣き寝入りせずに、おかしいと思えば相談してほしい」と呼びかけている。【福田隆、江畑佳明】
■氷山の一角
国民生活センターによると、探偵事務所に関する相談件数は95年度は454件だったが、02年度に1301件となり、初めて1000件を突破。04年度は1586件で、今年度は6月末までに134件だが、前年とほぼ同じペース。相談者は女性が男性の3倍で、「調査内容がいいかげんで連絡も取れない」「不要な追加調査を強要された」など、調査結果や契約に関する内容が多かった。
しかし、相談が「夫の浮気」や「息子の交際相手の素行」など、他人に知られたくない内容のため、依頼者が泣き寝入りするケースも多い。04年版警察白書は「悪質な業者による不適正な営業活動が後を絶たないことから、取り締まり等で業務の適正化に取り組んでいる」と指摘する。
■法的責任の追及
一方、探偵事務所を民事、刑事両面で追及する動きも出ている。30代の息子の不倫調査を依頼した兵庫県在住の男性は5日、「依頼者の不安をあおって追加調査を獲得する行為は不当」として、調査料の返還を求め、大阪地裁に提訴した。
また、40代の息子の行方調査を依頼した大阪府堺市の女性は、大阪市中央区の探偵事務所代表を詐欺容疑で告訴する方針。女性の弁護士によると、女性は02年12月、1年半前に行方不明になった息子の所在調査を同事務所に依頼。翌年10月、同事務所から「息子さんはフィリピンにいた。現地に行く必要がある」などと連絡があり、渡航調査費などの名目で計255万円を支払った。
ところが、次第に連絡が途切れがちになり、今年1月末に郵便で一方的に調査終了を告げられた。弁護士が入国管理局に確認したところ、息子が出国した記録はなく、調査が「虚偽」である可能性があるという。
■規制へ
法的に規制しようとする動きも。全国に5000業者あるとされる調査事務所の実態を把握するため、自民党のワーキングチームが、調査業者を届け出制とする法案の提出準備を進めている。
有志の弁護士約10人で作る「興信所・探偵問題研究会」事務局長、中森俊久弁護士(大阪弁護士会)は「悪徳な探偵事務所は、『調査報告書さえ出せば、素人である依頼者から責任を追及されることはない』と考えている。トラブルを表面化させて、悪徳業者の動きをけん制する必要がある」と指摘する。
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同研究会では今月30日午前10時〜午後3時、無料の「悪徳探偵電話相談」(06・6363・1771)を実施する。
(毎日新聞) - 7月6日18時29分更新
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