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2005年07月05日(火) 03時06分

<悪徳リフォーム>モイスコ、行政処分後に社名変えて営業毎日新聞

 兵庫県明石市の男性(72)宅に、換気扇29台を設置していたことが表面化した「モイスコジャパン」(福岡市)が、東京都から行政処分を受けた後、全国の13営業所の名前を系列子会社「アースコット」(横浜市)に変えていたことが分かった。毎日新聞の取材にモ社の宮本幸一社長(59)が認めた。警視庁が摘発した「サムニングループ」事件同様、行政の指導や処分を機に、会社名を変更して営業を続けている悪質リフォーム業界の実態が浮き彫りになった。【須山勉、遠藤哲也】
 宮本社長は本社事務所で取材に応じた。モ社は昨年2月、営業員が強引な契約を繰り返していたなどとして、特定商取引法違反で都の改善指示を受けた。それ以降、順次営業所の名前を、100%出資のア社(02年4月設立)に変えていった。理由について「指示を受けて営業停止状態に陥った」と説明している。
 そのうえで、宮本社長は「名前を変えて逃げるつもりはない」と語り、各地の消費者センターなどに苦情が寄せられている状況には「どうしてもルールを破る営業員は出る」と話した。
 元従業員らによると、13ある営業所の看板をア社の名前に書き換え、営業員の名刺や制服、車のカラーリングなども一新。モ社と無関係を装って、新規客の開拓を図るとともに、取引が続いている客には、ア社がメンテナンスを引き継いだと説明しているという。
 ◇引継ぎ後、苦情が増加
 モ社に関する消費者の苦情・相談は、東京都が業務改善指示を出した04年2月以降、各地で激減した。都内では02年度180件に上ったが、03年度61件、04年度24件、今年度に入ってからは3件。長野県でも02年度55件あったが、03年度37件、04年度2件、今年度ゼロとなっている。
 一方、ア社では、03年度までほとんどなかった苦情・相談が、モ社から事実上業務を引き継いだ04年度から出始めた。東京都は「モ社の関連会社という情報は把握しているが、都内で目立った被害は報告されておらず、調査や指導は実施していない」と話している。
 ◇「規則破る営業員は出る」
 宮本社長との一問一答は以下の通り。
 ——なぜ営業所の看板を替えたのか。
 「都の指示後、モイスコ社は信販会社から加盟店契約を打ち切られ、求人紙にも掲載を断られた。営業員も5分の1まで減った。これまで販売した機械のメンテナンスなどの仕事をア社に引き継いだ」
 ——営業員の指導は強化したのか。
 「モイスコで問題になった販売方法を改めるよう指導している」
 ——それでも、明石市の男性は被害に遭った。
 「10台以上の販売は営業所長の許可を取るよう指導しているし、70歳以上の高齢者とは原則契約しないよう言ってきた。指導を徹底できなかった責任を感じるが、末端の営業員を管理する営業所長の罪が一番重い。この営業員との契約は先月末で打ち切り、所長の処分も検討している」
 ——この営業員のような「トラブル予備軍」は社内に多いのでは。
 「否定はできない。どうしても私の知らない所でルールを破る営業員が出る。欲に負けて、100万円稼いだら、次は200万円と無理をする。うちは人件費節約のため、営業員は完全歩合制。雇用関係がないので、営業員に愛社精神がない」
 ——責任逃れのための名義替えでは。
 「モイスコの本社は、残して顧客の相談に対応している。名前を変えて逃げようという気持ちはない」
(毎日新聞) - 7月5日3時6分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050705-00000012-mai-soci