2005年07月05日(火) 15時16分

明治安田新たな違法　営業歪んだ「収益至上」背景（産経新聞）

告知義務違反規定　営業基盤強化へ利用
　明治安田生命保険の不祥事の背景には、社会的責任の大きい保険会社の営業を規制した保険業法に違反してまで、利益の積み上げを追求した明治安田の営業手法があり、法とモラルに背を向けた同社の経営姿勢が厳しく批判されそうだ。
　生命保険制度では、契約者が健康状態を保険会社に知らせる「告知義務」があり、この義務に重大な違反があった場合、保険会社は保険金の支払いを拒めることになっている。明治安田はこの規定を自社の営業基盤の強化のために都合のいいように利用した。具体的には、営業員が契約者に事前に「告知義務」についてきちんと説明せずに保険商品を販売。
　その後、短期間で契約者が死亡した際に、「告知義務違反があったため」として保険金を支払わなかった。
　この背景には、金子亮太郎社長が旧明治生命時代の平成十四年三月に策定した中期経営計画に、「死差益」の拡大を盛り込んだ利益優先主義があるとされる。
　死差益は、契約者の死亡率が見込みを下回り、保険金の実際の支払額が支払い見込み額より少なかった分を利益として計上する制度。明治安田はこの死差益を増やすために、保険金支払いを回避していた。
　四月から異例の長期間にわたっている金融庁検査は現在も続き、金融庁は問題の全容解明を急ぐとともに、こうした違法営業が組織ぐるみで行われていた可能性や、金子社長を含む経営陣の関与がなかったかどうかを精査しているもようだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050705-00000030-san-bus_all