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2005年07月05日(火) 11時20分

過激化する「デジタルいじめ」--ユビキタス社会の負の側面かCNET Japan

 Ryanという13才になる少年は、2年前、ほぼ毎晩2〜3時間はクラスメートとインスタントメッセージングに興じていた。そして、ある行動パターンに気づいた。「それに気づいて、ひどい気分になった」(Ryan)

 Ryanによると、子供たちは毎晩長い時間、互いにオンラインで罵倒しあっていたという。

 「真剣に怒り始めるのだが、理由が理解できないことも何度かあった」とこのマンハッタンに住むティーンエイジャーはいう。「自分の居ないところで交わされている会話に警戒心を持つようになった。IMを中断して部屋の中をうろうろしても、IMのことが頭から離れない。あの感覚は最悪だった」(Ryan)

 Ryanは、こうした経験に大きな不安を抱き、ほぼ2年前からIMの使用を避けるようになり、今はたまにしか使っていない。そして、このRyanと同じような子供がかなり多く存在する。

 英国の児童慈善団体NCHにが先ごろ実施した調査によると、5人に1人の子供が携帯電話やコンピュータを使ったいじめを経験したことがあるという。なかでも、テキストメッセージによるいじめが最も一般的で、インタビューを受けた子供の14%が気分を害するメッセージを携帯電話で受信したことがあると答えている。その中身は、当惑する程度のものから、あからさまに恐怖心を与えるようなものまで多種多様だった。

 「『ウドの大木、デブ、臭い、嫌われ者』といったものから、『おまえの家がどこか知ってるぞ。放火するから焼け死ね』といったものまである」と、NCH(旧National Children's Home)の子供技術部門の責任者であるJohn Carrは述べている。

 Carrは、携帯電話を使ったいじめを特に懸念しているという。The Yankee Groupの携帯機器市場担当アナリストLinda Barrabeeの推定によると、最近では13〜17歳の子供の約55%が携帯電話を持っているという。多くの子供にとって、携帯電話は完全に自分の分身になっているのだ。

 「携帯電話は子供にとって貴重な財産の1つだ」とCarr。「これは彼らの空間であり、彼らが自分でコントロールできるものだ。そのため、携帯電話で何か問題が生じると、子供たちは特に傷つきやすい」(Carr)

 これはデジタルライフスタイルの負の側面かもしれない。つまり、電話機やゲーム機などのガジェットを通じて両親や友人と絶え間なくコミュニケーションをとる子供は、望んでいないないコミュニケーションに遭遇する危険性にもされされている。その上、他人の前でばかにされるという昔からの屈辱の形態が、これからは携帯電話やウェブサイト上で生き残っていく。

 「もはや安全な場所などない。昔より悪質で陰湿になっている」(Carr)

 「Putting U in the Picture(全貌解明)」というタイトルのNCHの調査には、11〜19歳の子供770人の意見がまとめられている。これらの回答者のうち、10人に1人はカメラ付携帯電話で不快感や恥ずかしさ、脅迫感を感じる写真を撮られたことがあるという。また、そのなかの17%は画像が他人に転送されたはずだと答えている。

 この調査では、「ハッピースラッピング」と呼ばれる行為にも言及している。これは、暴行を携帯電話に録画し、ビデオメッセージングを使ってウェブサイトや別の電話機に配信するという、ハイテクを駆使したいじめの極端な例だ。

 ハッピースラッピングは英国で特に関心を集めている。英国では注目を集める事件がいくつも発生し、保護者、学校関係者、そして政治家の間で懸念が広がっている。英国の警察は先週末、11才の少女に対する暴行容疑で14才の少年3人を逮捕したと発表した。その暴行の様子はビデオテープに録画され、ノースロンドン中学の同級生たちに送信されていた。

一生消えない傷

 今月はじめには、別の英国人少女が足からの銃弾除去手術を受けたが、+++この少女を空気銃で射撃した若い容疑者の友人は、その様子を自分の携帯電話で写真に撮っていた。

 さらに5月には、カリフォルニア州ハーキュリーズ在住の高校生が、クラスメートを学校の更衣室で殴るという悪質な襲撃事件を起こして起訴された。その様子もビデオに録られ、インターネット上で公開された。17才の被害者はあごを骨折し、眼瞼皮下出血を起こした。

 しかし、身体的なものでなくとも深い傷を負うことがある。

 2003年には、カナダ在住のティーンエイジャーGhyslain Razaの両親がクラスメートを起訴した。「スターウォーズ」のライトセーバーの殺陣を練習している様子をRazaが自分で撮影したビデオを、クラスメートらがデジタル化し、公開したことが起訴理由だった。このビデオがネットにアップロードされたため、Razaは世界中の笑いものになった。

 このビデオを観た人のなかには、恥ずかしい思いをしたこのティーンエイジャーに同情する者もいた。RazaにiPodを買ってあげるためのウェブサイトがつくられたり(彼はめでたくiPodを手に入れることができた)、あるいは彼を本物の「スターウォーズ」最新版に登場させようというウェブサイトもできた(こちらは実現しなかった)。しかし、Ghyslainの両親は、息子があまりの屈辱感を味わったために、精神科で治療を受けなければならず、またこれで受けた心の傷は一生消えないかもしれないと主張している。

 「いじめを受けると、引きこもりになり、自尊心を失う可能性がある」(NCHのCarr)


この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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(CNET Japan) - 7月5日11時20分更新

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