2005年07月05日(火) 03時06分
<明治安田生命>違法営業新たに数十件 経営陣の進退問題に(毎日新聞)
今年2月、本来支払うべき保険金を支払わない保険業法違反の営業活動で金融庁から業務停止命令を受けた明治安田生命保険が、同庁に報告したケース以外にも同様の違法営業を数十件規模で行っていたことが4日、新たに明らかになった。金融庁も現在実施中の金融検査で把握した模様で、違法営業や隠ぺいが組織的に行われていなかったかなどを詳しく調べている。検査終了後に業務停止命令などの行政処分に踏み切るとみられ、金子亮太郎社長ら経営陣の責任が問われるのは避けられない情勢だ。
金融庁は4月下旬から、明治安田に対して金融検査を実施。違法営業に関する明治安田からの報告内容を確認し、行政処分後に同社が作った改善計画が適正に実施されているかを調べた結果、2月に表面化した分とは別の違法営業活動の存在が新たに分かった。
保険契約の際、契約者は過去の病歴や健康状態などを保険会社に知らせる「告知義務」がある。正直に告知しなかった場合、保険会社は契約から2年以内なら保険金の支払いを拒否できるほか、顧客の詐欺行為が判明すれば2年以上たっていても支払いを拒否できる。明治安田は、2月のケースでは告知義務を十分に説明せずに保険商品を販売、保険金支払いの必要が生じた際に「告知義務」違反を理由に保険金を支払わなかった。
今回も同様に契約者側の義務違反を理由に保険金支払いを拒んだとみられるケースが発覚。同社が2月の処分の際に金融庁に提出した報告には含まれておらず、同庁は隠ぺい行為などがなかったかも調べる。
明治安田は金融庁の行政処分を受けて、今年3月に担当専務ら幹部2人の事実上の更迭など役職員計69人の処分を発表。金子社長は役員報酬を4月から半年間100%カットして無給になったが、社長ポストにはとどまり、今月15日には生命保険協会会長に就任する予定。しかし、新たな違法営業の発覚で、社長辞任を迫られる可能性が強く、協会長就任も辞退せざるを得ないとみられる。
金子社長は旧明治生命時代の02年3月に定めた中期経営計画で、契約者が死亡する確率を織り込んではじき出す死亡保険の支払見込み額と、実際の保険金支払額の差にあたる「死差益」の拡大を経営目標に盛り込んだ。違法営業はその直後から頻発している模様で、「死差益」拡大の目標が保険金不払いにつながったとの指摘も出ている。
◇明治安田生命「検査中でコメントできない」
明治安田生命広報部は「検査中なので現時点では軽々にはコメントできない」としている。
<明治安田生命保険>
1880(明治13)年創業の安田生命保険と、1881(明治14)年創業の明治生命保険が04年1月に合併して発足。保険料等収入3兆435億円で業界3位。総資産は25兆1933億円。従業員数4万5302人(いずれも今年3月末現在)。旧明治生命は三菱グループ、旧安田生命は旧富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)と親しく、旧財閥の枠を超えた合併として注目された。
(毎日新聞) - 7月5日3時6分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050705-00000013-mai-bus_all