悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年07月01日(金) 04時03分

悪質リフォーム 社名変え摘発逃れ 詐欺容疑などで4人逮捕産経新聞

 「サムニン・ジャパン」グループによる悪質リフォーム事件で、グループは、客の苦情を受けて行政指導があるたびに社名や所在地などを変更し、摘発を逃れようとしていたことが三十日、警視庁生活経済課の調べで分かった。警視庁は同日、グループの元幹部社員ら四人を不要なリフォーム工事で代金をだまし取った詐欺と特定商取引法(特商法)違反(不実の告知)の疑いで逮捕した。
 逮捕されたのは、グループ会社「サムニン・イースト(現リブロ)」(東京)元幹部社員、鎌田悟容疑者(28)や「サムニン・ウエスト」(同)元幹部社員、桑原和寛容疑者(26)ら四人。さらに同容疑で元社員(26)の逮捕状を取った。
 元親会社「エム・エイチ・エス」やグループ各社は一都二府三十一県の延べ九千人から百十五億円以上を荒稼ぎし、悪質リフォーム商法では最大規模の摘発となった。警視庁は特商法(二年以下の懲役または三百万円以下の罰金)以外に、罰則の重い詐欺罪(十年以下の懲役)も適用した。
 調べでは、四人は平成十四年から十六年、茨城県の公務員(40)ら四人に「基礎にひびが入っている。放っておくと大変」などとうそを言い、必要のない工事を契約させ、計約二百七十万円を詐取した疑い。重要事項の不告知などで十二年から十六年に三度、都などの行政指導を受けると、社名変更や営業成績が高い社員を幹部にした新会社を設立し、摘発逃れを画策していた。
 グループに一級建築士などの資格者はいなかった。
 都消費生活総合センターには百九十九件の相談が寄せられ、三分の二が六十歳以上。センターによると、指を触れただけで倒れる床下補強材など、不必要な工事がほとんどだったという。
     ◇
 ■「親切」装い接近/布団、じゅうたん…次々販売
 屋根や床下の点検を口実にする悪質リフォーム商法は社会問題となっている。元社員の証言や捜査から「サムニングループ」の騙(だま)しの手口と組織の実態が明らかになった。
 ◆ターゲット
 「ヤラレ物件を狙え」。グループで営業指導をしていた元社員は職場で、こう指示を出していたと明かす。
 「ヤラレ物件」とは、リフォーム経験がある住宅のこと。これまでも契約を「即決」しており、新たな契約を取れる可能性が高いという。
 グループは、全国各地の「ヤラレ物件資料」を作成。町会単位の細かさでターゲットにする物件を選び、営業を展開。「ヤラレ物件」の中でも「契約が決まる」(元社員)のは、一人暮らしの高齢者宅だ。
 鎌田悟容疑者が食い込んだ横浜市の男性(72)も一人暮らしで、認知症だった。自宅からは約二十枚の契約書が見つかり、預金通帳にはほとんど残高がなかった。振り込み方法の分からない男性を金融機関に連れて行き、契約金を振り込ませたとみられている。
 「金持ちの高齢者宅にはケツの毛を抜くまで、五回でも、六回でもいった」(同)
 ◆役割分担
 グループ会社の営業部隊は「資料」を基に高齢者宅を訪問する「アポインター」、契約に持ち込む「クローザー」に役割分担されていた。
 アポインターは家事などを手伝ったり、親身に身の上話を聞くなど、「親切な人」を装って高齢者に接近。「家を点検してあげる」と約束し、クローザーが恫喝(どうかつ)や金額の引き下げなどをちらつかせて契約成立に持ち込むのがパターンだ。
 契約には、別の家の床下写真やわざとピンボケさせた写真を見せて「床下がひどい」と偽ったり、他社の名前を出して「その会社のリフォームは欠陥。早く修理したほうがいい」と騙す手口も駆使。
 また、「東京電力」のアンケートを装い、「屋根の修理をしていましたね。今、屋根の無料点検中です」と接近することもあった。
 狙った獲物は簡単に手放さない。リフォーム後は別のグループ社員が訪れ、じゅうたん、布団、磁気マットレスなどを購入させていた。
 ◆歩合給制
 グループ各社は社員に厳しいノルマを課し、高額な歩合給制を導入。当初2−4%だった歩合は、売り上げ増を図るため10%まで引き上げた。
 「高歩合に目がくらみ、若手社員は競うように悪質な高額契約を重ねた」(捜査幹部)
 埼玉県蓮田市の用水路で今年一月発見された現金約千八百万円は、さいたま市のリフォーム会社の二十六歳の従業員のものだったが、今回逮捕された四人も全員二十代。「会社の営業方針に従った」と容疑を認めている桑原和寛容疑者は営業成績トップで年間二億五千万円を売り上げ、歩合給は千五百十九万円にも上った。
 営業成績の良い社員には、「販社」という形で独立を認める“アメ”も用意し、士気を煽(あお)った。
 一方で、材料費などの原価率が40%を超えた場合は高い契約をとっても歩合給を出さない“ケチケチ”ぶりも。「ノルマを達成できない社員には、営業の想定問答を何度も反復練習させたり、リンチまがいの“制裁”が行われた」(警視庁)
 四、八、十二月は「強化月間」としてさらに厳しいノルマが課せられた。元社員は「知っている限りで二人が過労死した」と打ち明ける。
 都消費生活総合センターは「『無料点検』『格安リフォーム』の言葉に惑わされない。リフォームが必要なら、複数の業者から見積もりを取ること」と話している。
(産経新聞) - 7月1日4時3分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050701-00000018-san-soci