2005年07月01日(金) 23時45分
日本AMD、国内においてインテルに対し2件の損害賠償訴訟を提起(MYCOM PC WEB)
日本AMDは30日、都内で会見を開き、東京高等裁判所および東京地方裁判所に対して、インテルに対する損害賠償請求訴訟を提起したと発表した。AMDは、先日の米国独占禁止法違反の提訴に続き、米国・日本の2カ国でIntelを相手に裁判を争うこととなる。
まず日本AMDの取締役である吉沢俊介氏が提訴に至った経緯を説明した。x86 CPU市場では、Intelが市場の収益の90%ほどを占め、独占状態が続いているというMercury Researchによる調査結果を紹介した。加えて、このような現状においてIntelは40%程度の営業利益率だが、PCメーカーではDELLが10%程度、その他のFujitsuやHP、IBM、Acerに至っては数%からあるいはマイナスという状態であると示した。このように市場の独占を背景にIntelに利益が集中する状態は、市場の競争原理を阻害し、価格の高止まりとなって消費者の不利益につながっていると同氏は説明する。
訴状は公表されていないが、同社の発表によれば、東京高等裁判所に提起された案件は、独占禁止法第25条に基づくもので、3月8日に公正取引委員会が認定したインテルへの排除勧告を根拠とし、AMD製CPUを市場から排除する行為による損害の賠償として5,000万米ドル(約55億円)を請求するというもの。もう1件の東京地方裁判所に提起された案件は、民法第709条に基づくもので、先の排除行為に加え、AMDへの営業妨害行為を含む損害賠償として5500万米ドル(約60億円)を請求するものとされる。
なぜこの時期に訴訟を提起したのかという点については、まず、CPU製造技術において同社がテクノロジーリーダーの地位を得たこと、日本での公正取引委員会によるインテルへの排除勧告が行われたこと、EC委員会も同様にIntelの独占禁止法違反の疑いで調査中であること、そして同社の今後の製造能力強化や研究・開発などのロードマップなどが背景にあると説明。この訴訟によって同社が拡販を行おうというのではなく、あくまで優れた技術力で評価してもらいたいと吉沢氏は語る。
今回の訴訟における原告訴訟代理人は柳田野村法律事務所の千種秀夫弁護士とされている。同事務所の柳田幸男弁護士は、3月8日の公正取引委員会による排除勧告は制裁の無いものであることを指摘、インテルの(不当に得たとされる)利益に関して維持されると説明し、回復のための損害賠償請求という形式をとったと解説した。
また、独占禁止法に詳しい同事務所の菊池元一弁護士は、米国の反トラスト法と日本国内の独占禁止法では事情が異なり、今回の日本での訴訟では、AMDが独自に証拠収集をしなければならない点、損害賠償額に関しても米国では懲罰的に実損に対し3倍額を請求できるのに対し、国内法では実損額となること、また訴訟にかかる期間の違いなどを紹介した。
(石川ひさよし)
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http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/06/30/010.html
米AMD、独占禁止法違反で米Intelを提訴
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/06/29/101.html
インテル、公取委の勧告を応諾、事実には同意せず
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/04/01/004.html
公取委、インテルに排除勧告
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/03/08/010.html
日本AMD
http://www.amd.co.jp/
(MYCOM PC WEB) - 7月1日23時45分更新
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