2005年06月30日(木) 03時20分
中国、非登録サイト強制閉鎖へ 「ネット言論」封殺(産経新聞)
【北京=福島香織】中国でインターネットに対する管理がいよいよ激しさを増してきた。中国当局はこの春に開始したウェブサイト、ブログの完全登録制を今月末までに完成させるとし、来月から非登録サイトの強制閉鎖を開始すると通告。ネットサービス業者とサイト運営者の両方に罰金を科す徹底した登録制度で、辛うじて残っていたネットの言論のすき間に、とどめを刺そうとしている。
今年三月に施行された「インターネットIPアドレス行政登録管理令」「非営利性インターネット情報サービス行政登録管理令」という新しい法律に基づく措置で、中国情報産業省が展開しているウェブサイトの行政登録の一環だ。
「ネット上のポルノ、凶悪暴力、封建的迷信の流布など、人々の心、とりわけ青少年の健全な成長によくない影響を与えるサイト」を取り締まり、「ネットの健全な繁栄を促進する」ことを目的に国がIPアドレス(サイト識別番号)データベースを作り、一括管理するという建前だが、当局の好ましからぬ内容の規制に法的根拠を与えるのが真の目的だとみられている。
中国ではこれまでも、ネット検閲・監視システムによって、人権擁護や民主化、台湾、チベット問題に関する海外サイトなど、当局に好ましくない情報へのアクセスを遮断し、国内のサイトに対する監視も強化してきたが、次から次へと登場する個人サイトやブログについては監視が行き届かない部分もあった。
だが、今回の「法整備」で今後、国内で発行されるサイトのIPアドレスに登録を義務付け、これに違反したプロバイダーやレンタルサーバー会社などには最高一万元(約十三万円)の罰金が科される。サイト運営者にも登録申告が義務付けられ、ネット上で提供する情報が合法であることを保証しなければならない。こちらも違反すれば最高一万元の罰金で、改善がない場合はサイトは強制的に閉鎖される。
情報産業省によれば、五月二十三日までに登録があったサイトは四十三万件で、全体の74%。今月末までに登録を済まさなければ、強制的な閉鎖を始めると警告している。
中国のネット使用者は年内に一億二千万人に達すると予測され、その影響力はすでに政策や世論を左右するほど。全国規模で起きた反日デモの仕掛けもネットの力が大きい。在北京のある作家は「当局にとってネット世論の暴走は何より恐ろしいが、うまく操作できれば、“ネット民意”に従った“民主政治”を国際社会に披露できる。ネット管理は一党独裁存続の要だ」と話している。
(産経新聞) - 6月30日3時20分更新
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