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「欠陥住宅被害東海ネット」(名古屋)が一年半ほど前に調べた事例では、三重県内の八十歳前後の女性が、判明分だけで千四百五十万円の被害を受けていた。
建築士が調査すると、床下の防湿や屋根補修、耐震金具など、内容は典型的な悪質工事ばかり。複数の業者が二十、三十万円から百万円ほどの工事を繰り返し、女性の蓄えをむしり取っていた。ほとんど現金払いで、一部はクレジット契約をさせている。払いやすいよう少額工事で契約し、その後、次々工事を重ねていくのもよく使う手だ。
「欠陥住宅被害全国連絡協議会」(大阪)には、四千万円(愛知)、千五百万円(京都)、一千万円(兵庫)など、各地から痛々しい被害が伝えられている。
同ネットの一級建築士、寺西利行さんは「壁や基礎の補強など必要な施工は一切なく、効果がなく必要もない工事で法外なお金を取っていくのがこうした業者の特徴」とまゆをひそめる。
効き目がない個所に過剰な金具を取り付け、十分外気に触れて乾燥しているのに、余計な床下換気扇や調湿剤で暴利をむさぼる。東海ネットの事務局長で弁護士の柘植直也さんは「(無料点検などと称して工事や商品販売をする)点検商法や床下換気扇の訪問販売は、典型的な詐欺商法です」と断言する。
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法規制の網がないリフォーム業界は野放しに近い。五百万円未満の軽微な建設工事なら、業者は許可も不要。素人がだれでも参入でき、小規模の修繕だと建築確認もいらない。家に上がり込んだ悪徳業者が無意味な工事をしていても、外からは全く見えない。
標的になりやすいのは、古い家に住む高齢者だ。「無料の耐震診断」「地域一斉格安工事」などのキャンペーンを装った巧みな話術で、“いい人”を装って誘うのが共通の手口。実際には、まともな診断はせず、工事内容を示す詳細な図面や仕様書もなく、メモ書き程度の書類をかいて即座に工事に入る。
東海ネットの弁護士、石川真司さんは「悪質業者は『地震』『床下の湿気』などで消費者の不安につけ込む。大金をつぎ込んでも被害の意識がない人が多い」と話し「即決契約は絶対ダメ。複数業者から見積もりを取り、周囲に相談し、納得いくまで調べてから契約してほしい」と続ける。
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万一、悪質業者に引っかかってしまった場合、訪問などによるリフォーム契約なら、クーリングオフ(無条件解約)制度がある。契約書に記載不備があれば、通常の解除期間の八日間を超えても契約を解除できるほか、特定商取引法や消費者契約法、民法などに基づき契約の無効・取り消しを主張できることも。専門家が入れば、示談に持ち込める可能性もあるのであきらめないこと。
石川さんは「自分で判断しないでほしい。弁護士に契約書などを見せれば救済されることもある」と話す。
寺西さんは「本当に必要な工事かよく考え、業者任せにしない。不安なら、建築士などの専門家や役所の担当者に相談するのが先決。訪問リフォームには頼まないほうがいい」と強調している。
■東京で来月2日にリフォーム110番
欠陥住宅被害全国連絡協議会(大阪)は各地で「欠陥住宅・悪質リフォーム110番」を開き、弁護士や建築士などが相談などに応じる。▽関東ネット(東京)7月2日午前10時から午後4時まで、(電)03・3288・7481▽東海ネット(名古屋)7月1、2日午前10時から午後3時まで、(電)052・953・6531▽北陸ネット(金沢)7月2日午後1時から4時まで、(電)076・221・4111
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050630/ftu_____kur_____001.shtml