2005年06月28日(火) 03時12分
神栖汚染は不法投棄、ヒ素混入ミキサー車から?(読売新聞)
茨城県神栖町で有機ヒ素により汚染された2地点の井戸の水を飲んだ住民135人が健康被害を訴えた問題で、環境省は27日、うち1地点の井戸について、今年2月に近くの地中で見つかったコンクリート塊を汚染源と断定した。
汚染原因は当初、旧日本軍が遺棄した毒ガス兵器とみられていたが、同省は1993年以降に何者かがコンクリートに有機ヒ素を混ぜて捨てたと結論付けた。もう1地点の井戸の汚染源についても、同省はこのコンクリート塊の可能性を指摘しており、今後、茨城県警にも情報提供し、不法投棄者の特定を進める。調査結果は29日に公表される。
同町では、2001年ごろから2地点の井戸の水を飲んでいた住民が手足のしびれやめまいなどを訴え始めた。環境省などが調査したところ、計136本の井戸の水から有機ヒ素化合物のジフェニルアルシン酸(DPAA)を検出。DPAAは、旧日本軍がくしゃみ剤などの原料として使用していたとされ、同省は当初、旧軍が毒ガス兵器を地中に廃棄し、そこから漏れたDPAAが井戸水を汚染したとみていた。
しかし、今年2月になって、最も重い健康被害が出た井戸から約90メートル離れた地中で、DPAAを高濃度に含んだ3つのコンクリート塊(重さ計約40トン)が見つかった。塊は不規則な形状で、コンクリートにDPAAを混ぜ、ミキサー車から直接地中に流し込んだとみられるという。塊の中からは、93年10月の製造年月日が記された缶コーヒーの空き缶も見つかった。
さらに、環境省が周辺の地下水を調べたところ、コンクリート塊からこの汚染井戸に向かって流れていることも判明。このため、同省は、何者かが93年以降に不法投棄したコンクリート塊から溶け出したDPAAがこの井戸に達し、健康被害を引き起こしたと結論付けた。
同省によると、DPAAは、自然界には存在せず、戦後、工業用原料などとして民間で製造された記録は国内で確認されていない。
もう1地点の井戸の汚染源についても、同省は、地下水の流れなどから「コンクリート塊の可能性がある」としている。しかし、コンクリート塊から1キロ余り離れていることもあり、断定は避けた。
(読売新聞) - 6月28日3時12分更新
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