2005年06月21日(火) 03時11分
<悪質訪問販売>33府県で処分ゼロ 行政対応に甘さ(毎日新聞)
訪問販売業者などへの「特定商取引法」(特商法)による都道府県の処分(改善指示)は同法施行の01年度以降、14都道県で68件に上る一方、33府県で処分が全く行われていないことが毎日新聞の調査で分かった。処分されたケースも東京都と静岡県で全体の7割近くを占めており、地域格差が浮き彫りになった。各地の消費者センターへの被害相談は、それぞれ数千件以上あり、専門家は行政対応の甘さを指摘している。
訪問販売、マルチ商法などを巡る規制内容や禁止行為を定める特商法は、消費者保護のため、違反業者の名前を公表して改善を指示したり、従わない場合は業務停止にできる権限を都道府県に与えており、悪質業者は刑事罰の対象にもなる。
各都道府県の担当者への調査では、これまで業務停止はないが、改善指示を出したのは東日本を中心とした14都道県。最多は東京の31件、続いて静岡が14件で、以下神奈川4件、埼玉・石川・山梨3件、北海道・愛知2件、宮城・島根・福岡など6県が1件だった。対象業者は健康商品や教材販売会社、住宅リフォーム会社などが目立った。神奈川が約4万件の被害相談を受けて4件の処分を出したのに対し、兵庫は22万件以上の相談がありながら0だった。
特商法に詳しい石戸谷豊弁護士は「埼玉県のように消費者行政が比較的充実している地域でも、悪質な被害が出ている。いかに悪徳業者が横行しているかの表れで、こうした現実に行政は甘すぎる。被害を拡大させないためにも積極的な処分に踏み切るべきだ」と指摘している。【まとめ・須山勉】
<特定商取引法>
01年の法改正で訪問販売法(76年制定)から名称が変わった。訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖取引販売などについて、消費者保護のルールを設けている。悪質業者への処分は業務改善などの「指示」と、指示に従わない場合の「業務停止命令」。命令は公表を義務付けているが、指示も02年2月から原則公表となった。
(毎日新聞) - 6月21日3時11分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050621-00000016-mai-soci