2005年06月20日(月) 23時21分
<カード情報流出>日本ではマスター8万枚、ビザ6万余?(毎日新聞)
米国で約4000万枚分のマスターやビザのクレジットカード情報が漏えいした疑いがある問題で、マスターカード・インターナショナル・ジャパンは20日、日本国内発行分で最大8万枚が漏えいした可能性があることを明らかにした。ビザ・インターナショナル東京事務所も同日、同様に漏えいした可能性がある「ビザカード」が最大6万3800枚分にのぼり、不正使用は300枚分程度になるとの見方を示した。
一方、国内各カード会社はマスター側から流出した可能性のあるカード番号の提供を受け、自社のデータベースと照合するなど確認作業を急いでいる。その結果、UFJカードなどが、マスターとの提携カードで、実際に不正使用があったことを明らかにした。不正使用は▽UFJカード26件▽バンクカード(地銀64行が出資)6件▽UCS(大手スーパーのユニー子会社)5件が確認されている。各社はビザからも情報提供を受けて確認作業をするが、不正使用がさらに広がるのは必至だ。
各社は情報が漏えいしたおそれのある場合は、新しい番号のカードを発行し直す。不正使用された場合は全額補償し、カード会員に金銭的被害を発生させない。
19日に「約6500人分の流出の可能性がある」と明らかにした日本信販は、その後の確認の結果、5663件は実在しないか現在使われていない番号と判明。実際に使われていて流出したとみられるのは866件だった。実在しない番号が多数含まれるのは「犯行グループがでたらめに入力したカード番号が、流出元の米情報処理会社のデータベースに含まれていたため」(業界関係者)とみられる。【清水憲司】
◇明細書をチェック、覚えのない時はカード会社へ連絡を
今回、クレジットカード情報の漏えいの恐れがあるのは、米国の取引情報を処理する米国内の業者を通じて決済が行われたカード情報だ。旅行などで米国を訪れた際のカード決済のほか、インターネット上の買い物でも米国で決済が行われていれば、漏えいしている可能性がある。漏えいした恐れのある期間は「昨年8月から今年5月にかけて行われた取引」という情報もあるが「時期は特定できない」という企業も多く、全体像ははっきりしない。カード会社は利用者に、利用明細書をよく確認して、疑問がある場合は問い合わせるよう呼びかけている。
情報漏えいがあった米アリゾナ州のカードシステムズ・ソリューションズ社は、米国内の店頭で行われたカード決済の情報を、各カード会社に送っていた。情報の内容は、16ケタのカード番号やカードの有効期限、氏名などだが、カード番号と有効期限が分かれば不正に使用される恐れがある。
各カード会社は、カードの不正使用検知システムを24時間態勢で稼働しており、大量の電化製品の買い付けなど、正常でない取引と認められた場合は、店頭での決済を止めるなどの措置をとっている。不正検知システムの導入などで、クレジットカードの不正使用金額(日本国内分)は00年の308億円をピークに04年は186億円まで減少した。
しかし、「検知システムは会社によって異なり、万能ではない。少額の決済など、検知システムを素通りするケースもある」(カード会社)ため、利用者は毎月送られてくるカード利用の明細書をよく確認して、身に覚えのない取引があった場合は、カード会社にいち早く連絡することが必要だ。不正利用で被害が発生しても、保険などで補償されるため、カード会員に金銭的な被害は及ばない。しかし、不正利用に気づいたまま長期間放置すれば、利用者に過失があったとして補償されないケースもある。【古田信二】
(毎日新聞) - 6月20日23時21分更新
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