やさしい言葉で冒頭陳述制度理解へ『模擬裁判』裁判員制度を多くの人に知ってもらうため開かれた模擬裁判＝２０日午前、東京・霞が関の東京高裁で（東京新聞）

2005年06月20日(月) 00時00分

　二〇〇九年からの実施が予定され、市民が裁判官とともに刑事裁判を行う「裁判員制度」への理解を深めてもらおうと、東京地裁、東京地検と東京の三弁護士会（東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会）が主催する「裁判員制度模擬裁判」が二十日、東京・霞が関の裁判所合同庁舎で始まった。

　全国に一つしかない模擬裁判用の法廷を使い、現役の裁判官、検察官、弁護士が登場。裁判員席には一般企業の部長や高校教諭など六人が座り、東京新聞社会部の林涼子記者も「裁判員」として参加した。

　想定はスナックでけんかになった男性の腹を包丁で刺した男の殺人未遂事件。東京弁護士会の職員が演じる被告は殺意を否定。検察官は「裁判員の皆さん。被害者から暴行を受けた憤りから殺そうと決めたのが事件の真相なのです」と分かりやすい言葉で語りかけ、懲役六年を求刑した。

　弁護人は冒頭陳述で、「今、検察官が本当にあったことのように言ったのは『物語』にすぎません」と反論。「脅かして謝らせようと包丁を持ち出したが、もみ合っているうちに刺さってしまった」と殺人未遂罪の無罪を主張した。

　裁判員役の六人は書面に目を落としていたが、証人尋問が始まると、証言台に立った被害者の表情に注目していた。

　模擬裁判は午前中で結審し、別室で裁判官と裁判員が評議。判決は同日夕に言い渡される。

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