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宮崎県小林市の女性(76)と、今年4月に84歳で亡くなった認知症の夫が、約4年間に住宅リフォームなどの名目で少なくとも23件、計約1500万円の工事や商品購入のローン契約を結んでいたことが分かった。同じ工事が繰り返されているほか、信販会社との契約書には生年月日の誤りなど記載不備も多数あった。埼玉県富士見市の認知症の老姉妹のケースに続き、強引な訪問リフォーム商法に信販会社が“加担”している実態が浮かんだ。
夫は約10年前から認知症で、長女の結婚で02年2月からは夫婦2人で暮らしていた。4月に夫が亡くなり、兵庫県の長女が帰った際、多数の契約書が見つかった。長女の相談を受けた司法書士が調べたところ、クレジット契約書が10社23件計約1487万円分あったが、相当する工事明細の書類はなかった。
クレジット契約は00年7月〜昨年10月の間、夫婦いずれかの名義で結ばれていた。床下や天井、外壁などの工事と思われるものが10件、ほかは羽毛布団や浄水器などの商品購入。「床下防湿工事一式」名目の工事は9カ月間に3回行われ、うち2回は同じ業者だった。分割払いの内容などから、夫婦は約860万円払ったとみられるが残りを払えず、自己破産の手続きを進めている。
23件の契約書のうち半数は、申込日の記載がない▽引き渡し時期が書かれていない▽工事であれば「有」と書く役務欄に記載がない▽「商品名」の欄に型式、単価などが書かれていない−−など特定商取引法違反の疑いのある不備があった。
熊本市内の業者による「補強金具工事一式」では、福岡市内の信販会社が270万円のクレジット契約を6年間72回払いで02年4月に夫名義で結んでいたが、書類の生年月日は実際より5年ずれていた。この信販会社は、毎日新聞の取材に「生年月日はきちんと確認している。書類を書いたのが本人かどうかは不明だ」と話している。
長女は「契約は高額すぎるし、営業マンの言いなりだったのではないか。短期間にこれだけの工事が必要だったとは思えない」と訴えている。司法書士は「信販会社は支払い能力や契約内容をチェックせず通したとしか思えない。また、業者は工事明細を渡していない可能性もある」と指摘している。【佐藤恵二】
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050616k0000m040161000c.html