2005年06月15日(水) 00時00分
弱者標的商法、県内も/リフォーム契約巡り(朝日新聞・)
入院前に契約、工事7件1700万円… 埼玉県富士見市の認知症の高齢姉妹が不必要な住宅リフォームの契約を結ばされていた問題で、県内でも判断能力が不十分と疑われる人の被害相談が、県の消費生活センターなどに寄せられていることがわかった。中には、入院数日前にリフォーム契約を結んだ精神科にかかる患者や、相次ぐ7件のリフォーム工事でクレジット支払総額が約1700万円に上る高齢者もいたという。同センターなどは「氷山の一角に過ぎない」と問題の深刻さを指摘する。
県総合生活文化会館生活センター(秋田市)によると、住宅のリフォームをめぐり、同センターと県内7地域振興局に寄せられた相談件数は、04年度で79件あった。このうち60歳以上だったのは、34件で全体の43%。相談総数は、過去5年を見ると増加傾向にある。
一方、04年度に寄せられた全相談のうち、さまざまな理由で「判断能力が不十分」と疑われる人が結んだ契約についての相談は、05年2月末までに42件あった。
うち住宅リフォームについては3件2人。
【実例1】 県内の40代の男性は約20年前から精神科に入退院を繰り返していた。04年度に入院した後、男性宅を訪ねた身内が約210万円の風呂場のリフォーム契約に気づいた。契約日は入院数日前。身内が解約を求めたが、クーリングオフの期間は過ぎており、業者が応じなかった。
同センターは「判断能力不足に乗ずる形の契約の疑いがある」とする。
県以外に各市町村にも相談は寄せられる。秋田市消費者センターが受けた相談はこうだ。
【実例2】 60代後半の一人暮らしの女性。精神障害を患い入院加療が必要な状態だった。02年6月から04年2月までの間、市内に営業所をもつ5業者と計7件のリフォーム契約を結んでいた。すべて訪問販売で、浴室リフォームに約220万円、外壁工事に約140万円など総額873万円。すべてクレジット払いで、支払総額は約1700万円に上った。年金生活者だったが蓄えもなくなり、支払い不能になった末、身内が知った。
市のセンターは「業者と交渉するにしても、本人から直接契約の過程を聞くことができない状態。複数のクレジットカードが使われているのも特徴で、これが隠れみのになって、身内が気づいたときには手遅れになっているケースが多い」と指摘する。
悪質な業者に対しては業者名を公表するなどの行政処分もある。が、住宅リフォームをめぐり県内でこれまで処分が出された例はない。県生活センターは「本人からの被害が表面化されにくいだけに、地域住民など周りの人がちょっとでもおかしいと気づいたらすぐ相談してほしい」と呼びかけている。
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http://mytown.asahi.com/akita/news02.asp?kiji=6993
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