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2005年06月14日(火) 14時52分

落書き、知力低下反映? 単純な絵などばかり 仙台河北新報

 仙台の街を汚す落書きの質が低下してきた。もちろんどんな内容であれ犯罪だが、以前の落書きはメッセージや芸術性を感じさせるものも少なくなかった。それが最近は単色で、排せつ物の単純な絵やわいせつな文言などばかり。仙台で落書き消しのボランティア活動を続ける団体は「知力が落ちたのか、低年齢化が進んだのか」と嘆いている。

 泉区の黒松小では5月20日から21日にかけて、完成したばかりの体育館の壁が汚された。英語でわいせつな言葉が書かれ、単語のつづりは間違っていた。同小では、児童の目に触れないようシートで覆い隠した。

 野沢令照校長は「なんでこんな刹那(せつな)的なことをするのか。深い意味もなく、今が良ければいいという短絡的な落書きだ」と怒りが収まらない。

 「2年ぐらい前までは芸術的な落書きもあったが、最近は単純なものばかり」と指摘するのは、泉青年会議所を中心に2年前に結成された「らくがき消っし隊」の隊員藤巻紀夫さん(39)。

 消っし隊によると、4月に地下鉄八乙女駅のガード下やバスプールで見つかった落書きは、黒などの単色で、排せつ物を単純化した絵や英単語や記号の羅列。県道仙台泉線でも多くの電柱に落書きされたが、これも「単純で雑なものばかり」(藤巻さん)だった。

 市中心部の広瀬通周辺では3月、洋服店などが被害に遭った。これも意味不明な英単語の羅列。モルタルに書かれるケースも多く、塗料が染みこんで、消すのに10万円以上かかっている。広瀬通町内会の男性(58)は「落書きはすべて許せないが、最近は美的感覚のないものばかりで、なおのこと頭にくる」と語る。

 仙台市市民生活課によると、2003年に調査した際に市内で見つかった落書きは約500件。関係者は「最近はさらに増えている感じ」と話す。

 ドロップアウトした若者の行動に詳しい古賀正義中央大教授(教育社会学)は「難解な漢字を使って強烈なメッセージを示す落書きは、暴走族など統制のとれた集団が書いていたが、最近の若者は個人化して統制もない。そんな若者が自分の存在を示したくて落書きしているから、自己満足でメッセージ性もなく、意味不明な内容になっているのではないか」とみている。
(河北新報) - 6月14日14時52分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050614-00000021-khk-toh