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横浜市西区のキャンパスでは、数人の生徒を前に講師が助手と一緒に淡々と講義を進めていた。教室の生徒は平均すると数人だが、「インターネットの向こうで数十人が授業を聴いています」と広報担当者。教室の大きなスクリーンや学生のパソコンの画面には何人の学生が受講しているか表示され、メールやチャットを通じて講師と生徒同士がやりとりできる。
八洲学園大は昨年、インターネットで受講できる日本初の生涯学習学部を発足させ、「家庭教育」と「人間開発教育」の二課程を設けた。一年目は春と秋で五百人近くが入学。今春も三百人以上が門をたたいた。経営する学校法人八洲学園の和田公人理事長は「学生はとても熱心。これまで入学をあきらめていた主婦に好評です」と一年を振り返る。
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横浜市の会社員仲西千春さん(29)は民間資格の家庭教育アドバイザーを取ろうと、昨秋入学した。三歳の女の子の母親でもあり、幼児、児童教育に関係する授業を中心に履修している。今学期は、週末に集中して開講する講義など計六コマを受講。「子育てのことを学び、子どもが泣いたとき、その理由を考える心の余裕が生まれた」。チャットを通して学友もできた。メールのやりとりだけで、本名を知らない人もいるが、自宅が近い人もいて、互いに励まし合っている。
同じ立場の女性には「忙しいからと挑戦する前にあきらめないで」と呼びかける。その一方、「社会人向けといいながら土日の授業が少ない。小さな子どもがいると午後六時半からの講義を受けるのも難しい」と、問題点も指摘する。キャンパスに行かなくてもよいということで入学したが、「学校で授業を受けたいし、先生とも直接話したい」という思いも出てきた。
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講義は好きなときに見ることができるが、大学はできるだけライブで聴講してほしいという。「録画で見る野球中継に臨場感がないのと同じ。インターネットとはいえ、他の学生と一緒に授業を受け、指名されるかもしれないという一体感を求めた」と和田理事長。独自のシステムを約二億円かけて開発、その普及にも力を入れる。本年度、関東地方の私大が同大のシステムを導入、使い始めたという。
一方、マッキントッシュのパソコンに対応していないことや、使用できるパソコンは五百メガヘルツ以上のCPU(中央演算処理装置)といった制約もあり、「使い勝手をよくしていくことが最大の課題」と和田理事長。「将来は携帯電話だけで卒業できるシステムを」とも。試験もインターネットを通じて自宅で行う。このため、卒業を認定する以上、試験を受けたのが本人かどうかきちんと確認する仕組みが課題になるかもしれない。
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大学が昨年実施したアンケートによると、受講生は主婦と会社員が半数を占め、三十代が多い。目的の三割が資格取得。「時間を有効に使うようになった」「パソコンが上達した」という声がある一方で、「集中力、持続力の維持が大変」といった悩みも。学生と講師双方の「パソコン力」が、講義の魅力や学習内容の習得を大きく左右しているといえそうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20050613/ftu_____dgi_____000.shtml