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2005年06月11日(土) 00時00分

高齢者狙う甘い声1500万円余の領収証が、外国為替証拠金取引で紙くず同然となり、途方に暮れる70代の男性=太田市で朝日新聞・

 ハイリスクな外国為替証拠金取引という金融商品をめぐるトラブル相談が増えている。「絶対にもうかる」などと高齢者が誘われ、複雑な仕組みや危険性の理解に至らないまま、損害額がふくらむ深刻なケースが多い。
 
 国民生活センターによると、全国の相談件数は00年には4件だったが、その後は41件(00年)、388件(01年)、1412件(03年)、2714件(04年)と急増している。今年も、昨年の2倍に迫る勢いだ。

 県内も同様だ。県消費生活センターには昨年、商品相場に関する相談が119件あり、前年より14%増えた。「内訳のかなりの割合を、外国為替証拠金取引が占める」と担当者。東京都などのデータでは、相談者の6割が60歳以上。トラブル多発を受けて、国が7月から始める法規制をはじめ、対策が急がれている。

◆虎の子1500万円失う

 太田市内の70代の男性宅に、外国為替証拠金取引の勧誘員が訪ねてきたのは、昨年9月だった。「必ずもうかります」。熱心に勧誘され、翌週、労金の預金330万円を準備した。
 
 「いまドルが安い。もっと買った方がいい」。330万円を受け取っても、勧誘員は引き下がらない。「本当に大丈夫か」と心配する男性に、「500万円以上になります」。それならと、男性はリュックサックを背負って郵便局へ行き、解約した定期貯金770万円を手渡した。

 不安にかられ、毎日のように電話で問い合わせた。オペレーターは、減りつづける口座残高を告げた。男性は取引の仕組みをまったく理解できない。それでも勧誘員は「ポンドが安い。あと200万円を」などと勧誘。年末までに1580万円をつぎ込んだ。

 年が明けて、さらに損はふくらむ。「もう、やめたい」と訴える男性に、「いまやめると損が大きい」と応じない。スワップ金利という特殊な差損金が2月だけで48万円に。さんざんのやりとりの末、5月下旬にすべてを解約した。

 残金は80万円足らず。計1500万円分の5枚の委託証拠金領収証は、紙くずになった。

 男性は「どうしたらいいのか」と途方に暮れながらも、懸命の思いで県や市の消費生活センターと相談を進めている。

▼「リスクは説明」勧誘の業者

 取引を勧誘した業者側は、「リスクは十分に説明した。『絶対にもうかる』などとは言っていない」とする一方、「高齢者にハイリスクな取引を勧誘したことには、社会通念上、道義的責任はあるかもしれない」と認める。

【外国為替証拠金取引】
 
 少額の保証金を預けることで、その10倍や20倍もの資金を動かし、外国の通貨を売買できる複雑で投機的な金融商品。大きな利益を得ることもある一方で、短期間で多額の損失が出る恐れもある。勧誘時に重要事項の説明を義務付けている金融商品販売法の対象だが、業者を規制する規定がないため、多数の零細業者が参入している。電話や戸別訪問で高齢者を勧誘するケースが多い。

◆嫁の不在突き「着物代 立て替えを」

 嫁の不在時をねらい、義母に着物代の立て替えを迫る商法についての相談が、4月から今月にかけて4件、県消費生活センターに寄せられた。うち3件は、10万円近い代金を実際に支払ったという。

 今月上旬、60代の女性から寄せられた相談は、こうだ。

 嫁が仕事で不在の昼間に男が訪ねてきて、「お嫁さんが展示会で気に入り、注文した着物を持ってきました」と代金を請求された。所持金がないと断ると、「銀行まで連れて行きますから」。結局、約10万円を支払ったが、後で嫁に確認を取ると男の話が作り話だったとわかった。女性の話では、男はあらかじめ嫁の名前や不在であることをつかんでいる様子だったという。

 センターは、「『仕事中の嫁には確かめづらいし、購入しないで恥をかかせるのも悪い』と感じる義母の心理につけ込んだのだろう」とみる。

 このほかの相談も、手口はほぼ同じだった。センター(☎027・254・3000)は、被害に遭ったら最寄りの消費生活センターに相談するよう呼びかけている。(6/11)

http://mytown.asahi.com/gunma/news01.asp?kiji=4494