2005年06月07日(火) 15時14分
「脱線」便乗詐欺が数十人? JR西、不審者リスト提出(産経新聞)
見舞金目的 県警悪質なら立件
兵庫県尼崎市のJR脱線事故で、JR西日本に対し事故電車に乗車していたと名乗り出たものの、事故状況を明確に説明できないなどの「不審者」が二十−三十人にのぼることが七日、わかった。見舞金や治療費目的に乗客を装う人物が含まれているとみられる。事故から四十日以上経た今も、乗客数を確定できない要因になっており、捜査の支障にもなりかねない。県警はすでに見舞金詐取容疑で男一人を逮捕しており、「火事場泥棒のような」(県警幹部)悪質なケースには今後も摘発を辞さない構えだ。
県警は先月十五日、JR西から見舞金三万円をだまし取ったとして詐欺容疑で同県伊丹市の塗装工の男(37)を逮捕した。男は「腰などを打ち、通院を余儀なくされている」と虚偽申告。伊丹市内の喫茶店で担当社員と面会後、捜査本部が設置されている尼崎東署を訪れたが、説明につじつまが合わず、うそが発覚した。
その後の調べで、男はJR西に対し、「持っていたパソコンなどが壊れた」などとうそを重ね、見舞金だけでなく、高額の弁償費も要求していたことが新たにわかった。男は塗装工としての腕前はよかったが、最近は仕事にあぶれ、事故を悪用したという。
ほかにも大阪市西成区の男が事故電車に乗り合わせていたとJR西に申告し、同署を訪れた。事故状況の説明を求められるとしどろもどろになり捜査員が一喝すると、うそを白状した。この男も、JR西が一律支給していた三万円の見舞金が目的だったとみられる。
関係者によると、JR西は把握した乗客のうち、負傷者については入・通院状況をまとめているが、これとは別に事故状況の説明があいまいなど不審点がある人物についてリストを作成した。
しかし、実際に虚偽申告かどうか見極めができないため、県警に実態把握を委ねる形でこの「不審者リスト」を提出した。
リスト掲載者は二十−三十人に上るという。
県警は、乗客の乗車位置を特定するため負傷者から聞き取りを進めている。業務上過失致死傷容疑の立件のために事故の詳細な再現が必要なためで、こうした虚偽申告は捜査の支障にもなりかねない。
県警幹部は「事故の混乱に乗じて金を得るのは火事場泥棒と同じで悪質」としており、厳正に対処する方針にしている。
(産経新聞) - 6月7日15時14分更新
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