2005年06月01日(水) 16時41分
詐欺:内職あっせん業の男を起訴 被害数千万円、県警が解明へ /石川(毎日新聞)
あて名書きの内職の保証金名目で岡山県倉敷市の主婦(33)が現金30万円をだまし取られた事件で、詐欺容疑で逮捕された金沢市高尾台1、内職あっせん業「エルモア」経営、酒井敏之容疑者(47)は、全国の約4800人から総額約14億円を集めていた。狙われたのは「少しでも家計の足しに」とやり繰りに頭を悩ませる主婦たちだった。石川県警金沢西署などは、被害総額は数千万円に上るとみて、全容解明を進めている。一方、金沢地検は31日、酒井容疑者を詐欺罪で金沢地裁に起訴した。
「自宅ではじめられるアルバイト情報」「月収15〜30万円が目標」「保証金30万円が必要だが、やめる時には全額あなたの元へ返還されます」。こんなうたい文句のダイレクトメール(DM)が全国の主婦らに送られるようになったのは94年。応募した人には、14人分に区切ったB5判の用紙が送られてきた。これに、同送された名簿にある名前を書くのが“仕事”の中身。1枚あたりの報酬は15円とのことだった。
倉敷市の主婦の場合、最初の1、2回分8000円を受け取ったが、やがて報酬は滞るようになった。女性はやめることを申し出たが、保証金は返還されず、今年2月に被害届を出した。現在、県警には約50件の被害申告があり、被害総額は少なくとも数千万円に上るという。
また、被害に遭ったとする京都府や長崎、静岡県らの主婦ら53人が03年7月〜昨年12月、3回にわたってエルモアに損害賠償を求めて静岡地裁に提訴。地裁は今年5月までに、計約2442万円の賠償を命じている。
県警は、酒井被告の自宅や事務所などを家宅捜索、段ボール約300箱分の資料を押収した。その結果、あて名が書かれたB5判の用紙が大量に見つかった。
酒井被告は保証金などの返還を強く求めた主婦らには一部返金しており、起訴事実についても「きちんと返すつもりだった」と否認しているという。また、北陸3県に勧誘のDMが発送された形跡がないことも判明した。県警は酒井被告が、拠点近くを避け、遠隔地での勧誘を続けていたとみている。
さらに、県警は▽約10年前から勧誘を始めたのに、被害が申告されるようになったのがここ数年である▽14億円に上る入金があった酒井被告の口座の残高が現在ゼロになっている——ことなどについて、詳しい経緯を調べている。【花牟礼紀仁】
6月1日朝刊
(毎日新聞) - 6月1日16時41分更新
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