2005年05月31日(火) 00時00分
東に住基ネットは、プライバシーを犠牲にしてまでの必要を認め… (東京新聞)
東に住基ネットは、プライバシーを犠牲にしてまでの必要を認めないの判決あれば、西に欧州憲法は、フランスの利益を犠牲にしてまで批准することはないの仏国民投票あり。とかく民意はままならぬと、政治家の嘆き節が聞こえそう▼離脱を求める住民に住基ネットを適用するのは憲法違反とした金沢地裁の判決は明確だ。住民の意向を無視して行政の都合ばかりを優先しておきながら、住民基本台帳の無断閲覧など、役所の管理はずさんとあっては、住民に信用されまい。裁判所がその民意をくみ取った▼同じ政治への不満を、フランス国民もぶつけたのだろう。経済のグローバル化に合わせて欧州連合(EU)の拡大・統合路線を突っ走ってきたシラク大統領に急ブレーキをかけさせる強烈な「ノン」だ▼ことはフランスにとどまらず英国、ポーランドなど各国に否決の連鎖を招くおそれがある。与党が過半数を占める議会議決でなく、あえて危険な国民投票を選んだシラク大統領には、保守の地盤固めに利用しようとの思惑があったようだが、裏目に出た▼出口調査によると移民の流入や工場の国外移転を警戒する労働者や若年層が反対に回ったらしい。保守勢力が改革を強行するような政治の転換期には民意の潮目を読むのは難しい▼同じ日、福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」の設置許可無効を求める訴訟で、最高裁は二審判決を破棄、住民敗訴の逆転判決を言い渡した。ここでは民意は退けられたが、惰性で続く日本の原子力行政にとってその判断がよかったかどうか。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20050531/col_____hissen__000.shtml