2005年05月29日(日) 03時05分
大容量光通信に道開く可能性も、光伝わる速さ減速成功(読売新聞)
ごく小さな高分子樹脂の球を並べて光を通すことで、光が伝わる実質的な速さを40分の1にすることに、東京大学大学院工学系研究科の五神真(ごのかみ・まこと)教授らが成功した。
光の伝わる速度を遅くすることで大量の情報を直接読み出すことが可能となり、高速で大容量の光通信に道を開く可能性もある。27日発行の米物理学会誌フィジカル・レビュー・レターズで報告した。
五神教授らは、直径約1000分の5ミリの高分子樹脂(ポリスチレン)の球を大量に製造し、その中から同じ大きさに精度よくできた6個を並べて光を当てた。光は球の中をぐるぐる回ってから次の球に移動するため、光の伝わる速度を大幅に落とすことができた。
現在、通信の幹線では光ファイバーによる光通信が使われている。電話やインターネットを利用する場合、幾種類もの情報を重ねた光信号を電気信号に変換し、ルーターという機器で情報の行き先を示す「目印」を読み取って相手先ごとに振り分けた後、再び光信号に戻して送信している。
毎秒100ギガ・ビット(1ギガは10億)を超える高速大容量通信では、電気信号での処理が難しくなるので、光を変換せずに情報を振り分けることが望ましい。ところが、高速の光のまま「目印」を読み取ることは困難で、製造方法の簡単な装置で光を減速する技術が求められていた。
(読売新聞) - 5月29日3時5分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050529-00000201-yom-soci