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業務改善指示と業務停止命令を合わせた処分件数は、経産省と都道府県の合計で二〇〇四年度は四十件。〇〇年度の四件から増え続け、特に都道府県の伸びが著しい。
重い処分である業務停止命令は、都道府県での実績はないが、経産省は〇四年度に十件発動した。これまでは〇二年度の二件が最多。経産省の強い姿勢が分かる。経産省、都道府県ともに行政処分の際に業者名の公表も行うことが普通になってきている。
実例を見てみよう。経産省は昨年十二月、大阪府のアクセサリー訪問販売業者に一年間の業務停止を命じた。経産省によると、この業者は若い社員が異性の消費者に電話して面会の約束を取り付ける手口を使った。
別の社員が消費者を飲食店に連れて行き、すごんだり長時間しつこい勧誘をしたりして何十万円もする指輪やネックレスを買う契約をさせた。経産省は違反行為として、消費者への威迫・困惑、迷惑勧誘、不実告知、書面虚偽記載を挙げた。
ことし三月には、北海道に本社を置く健康食品の通信販売業者が、経産省から、三カ月の業務停止を受けた。業者は全国で新聞折り込み広告を出し「食後に飲むだけで健康的にやせられる」「とにかくやせます」などとPRしていた。同省は、業者から提出された資料では痩身(そうしん)効果の合理的根拠が示されなかったとして、特商法違反の誇大広告と認定した。
経産省や都道府県のこのほかの処分例には▽違法行為を繰り返して高価な書籍やビデオを販売していた電話勧誘販売業者に一年間の業務停止▽勧誘時にうそを言うなどの違法行為を繰り返した住宅リフォーム会社に業務改善指示▽クーリングオフができることを隠すなどの違法営業をしたマルチ商法の業者に業務改善指示−などがある。
特商法は、一九七六年に訪問販売法として制定され、〇一年の改正で特商法に名前を変えた。現在の規制対象は六種類。
クーリングオフ制度で消費者の保護を図るほか、業種ごとに細かく違法行為を定めている。昨年の改正では、キャッチセールス、マルチ商法、点検商法などの訪問販売への規制が一段と強化された。
悪徳商法被害者対策委員会の堺次夫会長は「三年ほど前から、経産省が悪質商法の取り締まりに力を入れ始めて流れが変わった」と話す。
経産省は、行政処分を担当する消費経済対策課の人員増強を進めたり、都道府県にも行政処分を活用するよう働きかけたりしてきた。「経産省や各地の消費生活センター、国民生活センターに入る消費者トラブルの情報をもとに行政処分を行って、事業者に違法行為をしないよう思いとどまらせるのが狙い」(消費経済対策課)と説明する。
都道府県については、それぞれの取り組みの熱意に大きな差がある。
都道府県による行政処分の件数は九六年度から今年三月末までの合計で七十三件。そのうちの三十二件が東京都、十九件が静岡県によるもので、東京と静岡は優等生だ。反対に、この時点では三十三府県が行政処分をした実績がない。経産省は「これまでゼロだった府県が処分を実行してくれるだけで、処分件数はさらに伸びる」(同)と期待している。
■特定商取引法の規制対象となる商行為
<訪問販売>
自宅への訪問販売、キャッチセールス、アポイントメントセールス(電話で販売目的を告げずに事務所に呼び出して販売)など
<通信販売>
新聞や雑誌、インターネットなどで広告し、郵便・電話などで申し込みを受ける取引
<電話勧誘販売>
電話で勧誘して申し込みを受ける販売
<連鎖販売取引>
マルチ商法。個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させる形で販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・サービスの販売
<特定継続的役務提供>
長期・継続的なサービスの提供とこれに対する高額な対価を約束する取引(エステ、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室)
<業務提供誘因販売取引>
仕事が得られると誘って仕事に必要な商品を売りつける取引
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050526/ftu_____kur_____001.shtml