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2005年05月25日(水) 00時00分

原因、2カ月公表せず 横浜市営地下鉄壁崩落事故 東京新聞

 横浜市営地下鉄で昨年九月、トンネル内で壁が崩落し電車が緊急停車した事故で、同市交通局は二十三日に市議会の常任委員会に原因を報告したが、交通局は三月に報告書を第三者機関から受けていたにもかかわらず、二カ月間公表していなかった。崩落原因は業者の手抜き工事で、監督を委託していた設計会社も工事の完成を認めていた。交通局は公表遅れの理由を「業者が行政処分の対象になるか検討していた」とするが、安全に関する問題だけに対応に疑問の声も上がっている。 (金杉 貴雄)

 崩落した壁は、市営地下鉄踊場駅−戸塚駅間のトンネルの上下線を仕切るコンクリート製のパネル式の壁(高さ三メートル、幅三・八メートル、重さ百三十五キロ)。昨年九月十六日、上り線側の線路に倒れているのを上り線の運転手が見つけ、緊急停車したが先頭車両が壊れた壁の一部に接触した。けが人はいなかった。

 壁は天井部分で固定し設計上はケミカルアンカーという太いボルトを使うはずだったが、実際には小さな鋲(びょう)で止められていたことが直後に判明。建設工事は一九九八−九九年に西松建設(東京都港区)が設置し、監督業務は梓設計(東京都品川区)が受注していたが、西松建設は不適切な工事だったことを認め、既に今年一月までに同社の責任で周囲の壁を含めた六面すべてを鉄筋コンクリート製に改修した。

 崩落原因について第三者機関の財団法人鉄道総合技術研究所は今年一月、強度が十分でない鋲が電車通過時に繰り返し風圧を受け壊れたことが主な原因だったと指摘する報告書案をまとめ、市や両社に提示。市と両社はその後文言を調整したといい、三月二十三日に報告書がまとまった。

 両社は交通局に対し、「風圧を受けることを考慮にいれていなかった」と釈明しているが、なぜ設計と違う工事をしたのかについては説明はないという。

 交通局は三月以降、指名停止などの行政処分にあたるかどうか検討していたため市議会などに報告が遅れたという。処分は現在でも決まっていないが、「一般的には手抜き工事といえ、処分の必要があるのではないか」との見解を示している。

 市交通局はほかにパネル式で設置してある壁は補強するなどの対応をしているというが、両社が地下鉄建設でかかわった工事でほかに手抜き工事がないか点検する予定はないという。

 市議会からは、JR西日本の脱線事故があったばかりでもあり、監督業務の委託を含め、手抜き工事を最終的にチェックできない市の責任を問う声が上がっている。

 水道交通委員会委員長を務めた福田峰之氏(自民)は、「電車通過中に壁が倒れていたらもっと被害が出たかもしれないし、ほかに手抜きがあれば大惨事につながりかねない重要な問題。報告が遅れたことは危機意識が低い表れ」と批判。今月十九日に市は地下鉄事業を当面「公営」で運営するビジョンを決めた直後だけに、「事前にこうした問題が分かると公営継続への理解が得られず紛糾すると判断し、遅らせたのではないか」と疑問視する議員もいた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20050525/lcl_____kgw_____000.shtml