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2005年05月19日(木) 00時00分

悪徳リフォーム業者、ここまでやる実態ZAKZAK

屋根裏に換気扇30個、床下調湿剤うず高く

 今回の被害者は認知症だったが、一人暮らしや高齢者がターゲットにされるケースは多い。また、介護保険で要介護(全区分対象)に認定されれば、改修工事に対して20万円(1割の自己負担あり)が支給される。

 「一人暮らしの高齢の女性を訪ね、契約を渋るといきなり張り手を見舞った。女性は震えながら手付金を払いました」


 悪徳営業を目撃したリフォーム業者は、こう振り返る。

 この業者は、営業に行った一戸建ての悲惨な状況に目を疑った。15坪ほどの屋根裏。通常は2個で済む換気扇が30個もぶら下がっていた。換気口がないどころか、電気のコンセントさえなかった。

 家主に尋ねると、通常1個1万5000円の換気扇なのに、1個18万円で設置したという。床下もひどかった。2、3センチほどの高さでまけば十分といわれる床下調湿剤は、床下近くまで数十センチも積み上げられていた。まったく必要のない庭にまで、大量にまかれていたという。

 業者は「搾ろうと思えば、いくらでもできる。屋根裏や床下まで誰が見ますか?」と話す。

 「姉妹には何回も会っているが、会うたびに初対面という認識のようだ。自宅が競売にかけられていることもわかっていないのではないか」

 市からの依頼で認知症の姉妹宅を調べたNPO法人「ピュアライフ・ネットワーク」理事長で1級建築士の石田隆彦さん(42)は、悪徳ぶりに憤る。

 姉妹が契約した不要なリフォームの代表例は、耐震補強、床下の湿気を取る床下調湿剤や床下換気扇。姉妹宅の規模なら、耐震補強は1件1万円以下の器具を20ほど取り付ければ済むが、1件平均4−5万円で150件もの契約をさせられていた。石田さんは「屋根裏はまるで補強金具の見本市だった」とあきれる。

 中には適正価格の20倍にあたる契約もあり、しかも実際に工事がされたのは、契約の半分程度だった。

 「工事はするが費用が不当に高い悪質業者だけでなく、高いうえに工事すらしない悪徳業者が増えてきている」(同)

 床下には適正価格の3倍にあたる換気扇が20基も設置されていた。調湿剤も適正価格の10倍にあたる1件2−3万円で、300−400件の契約があった。

 姉妹が訪問業者の集中砲火を浴びた背景を、石田さんは「訪問業者が悪用した高齢者のリストが、同じ名簿業者から買ったものだったため」とみる。さらに「営業マンが職場を変えれば、次々に情報が広がる。最初に姉妹に目をつけた営業マンは、独立して会社まで興している」という。

 石田さんのもとにはリフォーム関係の相談が毎月4−5件のペースで寄せられるが、「名簿業者は高齢者や身体障害者などのリストを作っており、そういう人たちが営業マンに子供や孫のように優しくされてつけこまれている」という。

 石田さんは「リフォーム業者の99%はまとも」としたうえで、「昭和の創業で、建設業の許可を持った、何かあっても逃げられない地元の工務店」なら信頼度が高いという。また、石田さんは「工事費が300万円を超えるようなら、建築士に頼んだほうが結局は得」と話している。

ZAKZAK 2005/05/19

http://www.zakzak.co.jp/top/2005_05/t2005051930.html